江戸時代の江の島ブーム伝える名作の数々も 辻堂に藤澤浮世絵館
辻堂の商業施設内に7月16日にオープンした藤沢市藤澤浮世絵館。同市が1980年から約2億円をかけて郷土資料として収集してきた浮世絵と関連資料約1,500点の中から、60点前後を公開する初の常設施設だ。
富士山を別格とすれば、浮世絵に描かれた風景の中で、その数ではかなりの上位に入ると言える江の島。江の島と共に信仰・行楽の地であった大山(雨降山)への参詣道の入り口として、また時宗総本山浄光寺(遊行寺)や東海道藤沢宿が置かれた地として、藤沢の地は数々の浮世絵作品に登場する。
館内は「東海道五十三次」「藤沢宿」「江の島」「企画展示」の4コーナーに分け、会期ごとに展示作品を総入れ替えする。9月4日までの第1期には59点を選定。歌川国貞(三大豊国)の『役者見立東海道五十三駅』は、各宿場の風景とその宿場にちなんだ歌舞伎の登場人物をセットにした絵で、人物はすべて当時の人気役者や往年の名優の似顔で描かれている。そのほか葛飾北斎の代表作『富嶽三十六景 相州江の嶌』や喜多川歌麿『風流四季の遊 弥生の江之島詣』など、江戸時代を代表する巨匠の作品が無料で楽しめる。
同館担当者は「近づいて細かい所までじっくり見ていただいて、それぞれの作品の面白さや込められた情報を見つけていただきたい」と話している。 絵に込められた情報を解説するタッチパネルやライブラリーコーナー、浮世絵の一部の版画刷りを体験できるコーナーも設置。同施設内にある「藤沢市アートスペース」と連携した「アート&浮世絵クイズラリー」も開催している。両館とも入場料無料。開館時間は10時~19時。月曜休館。 (齊藤真菜)