意外と多い、部下を怒鳴り散らす上司に「欠けているもの」
朝令暮改も日常茶飯事
相手によって態度を変える人は、方針もコロコロ変えることが多い。朝令暮改も日常茶飯事なのだが、これは“上”から気に入られることしか考えていないからだろう。“上”からちょっと言われただけで、それまでの方針を百八十度転換することもある。そのため、こういうタイプを上司に持つと、部下は振り回されてばかりで、本当に苦労する。 指示が行き当たりばったりで、一貫性がなく、すぐに方針が変わる一因として、自信がないこともある。おくびにも出さないが、実は「この方針で大丈夫だろうか」とびくびくしているからこそ、指示が二転三転する。朝令暮改の上司ほど「状況が変わったんだから、臨機応変に対応しないといけない」と正当化するが、そのたびに右往左往する部下のほうはたまったものではない。 方針がコロコロ変わる上司の胸中には、責任回避のためという思惑が潜んでいることもある。自分で責任を取りたくないので、少しでもうまくいかないことがあると、すぐに方針転換する。場合によっては、自分では明確な指示を出さず、「“上”がこう言っていたから、そうしよう」と自分の責任をあいまいにしたり、「それぐらいのことは、自主的にやってくれないと困るよ」と丸投げしたりすることもある。いずれにせよ、自らに降りかかる責任の回避を最優先したいからにほかならない。 辛辣な見方をすれば、自信がないからこそ、自己保身のために相手によって態度を変える“カメレオン”になるのだし、方針もコロコロ変えるのだともいえる。 つづく「どの会社にもいる「他人を見下し、自己保身に走る」職場を腐らせる人たちの正体」では、「最も多い悩みは職場の人間関係に関するもので、だいたい職場を腐らせる人がらみ」「職場を腐らせる人が一人でもいると、腐ったミカンと同様に職場全体に腐敗が広がっていく」という著者が問題をシャープに語る。
片田 珠美(精神科医)