ロッキード事件の鬼検事・堀田力「そろそろ夫婦の人生を楽しみたいと思っていた矢先に…」脳梗塞のリハビリに川柳を書き留めて
力 妻から話を聞いていたので、日本の介護福祉の現状について勉強にもなり、人生後半の活動の方向も考えることができました。私の弟や妹たちも、地域でボランティア活動をしています。そういう流れで、私は「制度作り」に携わることができた。いまはケアされる当事者ですが、だからこそ介護現場の人手不足の現状など、さまざまな気づきもあります。 明子 長年福祉に関わってきた夫でも、後遺症に悩んでいた当初は、「なぜこんなこともできなくなったんだ」という苛立ちもあったのでしょう。穏やかな人なのに、私に当たることもありました。 病気がそうさせているとわかっているけれど、つい私も感情的になったり。でも、そういうこともあるのが人間ですから。それからは、お互い「できない部分は受け入れて、できることを広げよう」と心がけています。 力 90歳を目前にした病で、いろいろなことに気づかされました。リハビリのおかげで寝たきりにならず暮らしていますが、ほぼ赤子のような状態。それを痛感してから、第三の人生が始まったように感じて。残り少ない人生、微力ながらも子育て支援などの福祉活動を続けていきたいですね。 明子 そういう前向きな気持ちが、生きていく力につながっていると思いますよ。 力 本当にその通り。今日も、僕が見えていない体の左側に立ち、手をとってくれてありがとう。 明子 どういたしまして。仕事では厳しく、世間では《鬼検事》と言われていた夫ですが、根っこは明るい。結婚して60年、苦楽もあり病気もありますが、これからも支え合っていけたらと思います。 (構成=篠藤ゆり、撮影=宮崎貢司)
堀田力,堀田明子
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