ゼロコロナ政策終了から2年の中国 景気鈍化、ビザ免除拡大で訪中外国人の呼び込みに躍起
中国が、新型コロナウイルスの感染拡大を徹底的に食い止める「ゼロコロナ」政策を正式終了してから8日で2年となる。景気回復が喫緊の課題となる中、中国政府はビザ(査証)免除措置の拡大で訪中外国人を呼び込もうと躍起だ。 【写真】マンション・バブル崩壊の中国。工事が止まったままの施工現場も多い 1月上旬、兵馬俑(へいばよう)で知られる中国有数の観光都市、陝西(せんせい)省西安市内には日本や韓国、イタリアなど海外からの観光客の姿があった。 「この1年で外国人観光客が急速に回復した」 西安の観光業者の男性は笑顔で語った。ゼロコロナ政策下では海外からの旅行者は皆無だったが、男性は今回の年末年始に8日間連続で兵馬俑を訪れる外国人を案内したという。 中国は2023年1月8日、約3年間続けて「鎖国」とも呼ばれた厳格な水際措置を撤廃して海外との往来正常化に踏み出した。23年末からは短期滞在の外国人に対するビザ免除措置の対象国拡大に動いた。不動産不況を背景とした景気鈍化が長期化する中、コロナ禍で減少した観光客や出張者を呼び戻す狙いがあるとみられる。 ■ビザ免除3→38カ国に 昨年11月30日には日本に対する短期滞在のビザ免除措置を約4年半ぶりに再開。同様のビザ免除対象国は計38カ国になった。コロナ禍前のビザ免除対象国は日本、シンガポール、ブルネイの3カ国のみだった。 ビザ免除措置拡大の効果は出ている。中国国家移民管理局のデータによると、24年1~11月の外国人入国者数は前年同期比86・2%増の延べ2921万8000人。このうちビザ免除措置を利用して入国した外国人は1744万6000人だった。 昨年12月には第三国・地域への乗り継ぎ時にビザなしで中国に一時入国できる措置を拡大。日本や韓国、米英、ロシアをはじめ54カ国の国民を対象に一時入国の滞在期間を最長10日間に延長した。 一方で、北京の日系航空会社関係者は「ビザ免除措置再開後も爆発的に日本からの訪中客が増えている感じではない」と指摘する。反スパイ法に基づく日本人拘束や、広東省深圳(しんせん)の日本人男児刺殺事件といった安全に関する問題が日本人の訪中需要の回復を鈍くしているとみられる。(中国総局 三塚聖平)