F1分析|ノリス、2度の”一瞬”に泣き勝利を逃す。これも今季が大接戦であるがゆえ?
F1カナダGPでは、レッドブルのマックス・フェルスタッペンが優勝。今季6勝目を挙げた。 【ギャラリー】2026年の新規則F1マシンが明らかに! 現行規則との相違点を様々なアングルからチェック! 6勝目とはいえ、今回のレースもフェルスタッペンにとって、簡単なレースではなかった。予選ではメルセデスのジョージ・ラッセルにポールポジションを奪われ、決勝レースでも一時はマクラーレン勢に先行されるシーンもあった。ただ、ある意味幸運な部分と絶妙な判断が積み重なり、フェルスタッペンは勝利を掴むことができたと言えよう。 まず幸運だった部分から。それは、最初のセーフティカーが出動した時にピットインできたタイミングだ。 当時先頭でレースを率いていたのは、マクラーレンのランド・ノリスだった。しかしローガン・サージェント(ウイリアムズ)のクラッシュが起き、セーフティカーが出動した際に、ノリスはピットインに入れなかった。しかし2番手以下のマシンはピットに入った……ノリスは1周遅れてピットインしたことで、3番手にポジションを落とすことになったのだった。 マクラーレンのアンドレア・ステラ代表によれば、ノリスはセーフティカーが出動した時、ピットレーン入口の1.5秒手前にいたという。これでは、ピットインを判断するには間に合わなかった。 これについてノリス本人は、「ピットストップするべき時にチームとして十分な仕事ができなかった。だから、運が良かったとか悪かったとか、そういうことではないと思う」と語り、判断ミスだったと指摘している。 フェルスタッペンはこれにより首位に躍り出ることになったわけだが、もうひとつ決定的な瞬間があった。それはレース中に、インターミディエイトからドライタイヤに交換するタイミングである。 最初のセーフティカーのタイミングでいち早くドライタイヤに交換、さすがに早すぎたと見え、すぐにインターミディエイトタイヤに戻すことになったシャルル・ルクレール(フェラーリ)を除けば、最も早くドライタイヤを履いたのは、アルピーヌのピエール・ガスリーだった。40周目のことである。 そのガスリーは、ドライタイヤを履いた直後こそペースの面で苦しんだものの、43周目にはインターミディエイトタイヤを履き続ける上位勢と遜色ないペースで走るようになった。ドライタイヤにする最適なタイミングが近づいているのは明らかだった。 これを見て真っ先に動いたのは、メルセデスのルイス・ハミルトン。43周目にピットインしたが、コース復帰直後はインターミディエイトを履くノリスのペースに追いつくことができなかった。ハミルトンの1周後にピアストリ、そのさらに1周後にフェルスタッペンもピットインし、ドライタイヤに履き替えている。