榊英雄監督「3度目逮捕」のウラで…日本版“#MeToo”運動でまだまだ続く映画界の「混乱」
5月14日、映画監督で俳優の榊英雄容疑者が、女優への準強姦の疑いで警視庁に3度目の逮捕をされた。 【手錠に腰縄を…写真あり】「準強姦で3度目逮捕」榊英雄容疑者の「変わり果てた姿」 日本映画界で#MeToo運動が起きたのは、’22年のことだった――。 きっかけは榊の作品やワークショップに参加していた女優たちが性行為を強要されたと『文春オンライン』が報じたことだった。それからは、被害を受けた女優たちが声を上げ始め、監督、プロデューサー、俳優たちの悪行が次々と白日の下に晒されたのだった。 公開が予定されていた榊が監督、プロデュースした映画はすべて公開中止になり、過去の作品も鑑賞することは困難となっている。 榊に続いて、数々のヒット作を輩出していた有名監督や他にも俳優らが告発されたが、極めつけは木下ほうかだった。 数々のドラマや映画に出演して人気俳優となっていた木下がそんな不埒な行為を働いていたことに、関係者やファンは唖然とするしかなかった。しかし木下は報道を不服とし、報じた女性誌を訴えたりもしたが、結局訴えを取り下げている。 日本映画界は大混乱に陥ったが、良識ある映画人たちが業界の浄化・健全化に向けて動き始め事態は収拾に向かっていた。騒動勃発から2年が経ち、世間の記憶も薄れ始めていたのだが……。 今年2月、榊は演技指導名目で女性にわいせつな行為をしたとして準強姦容疑で警視庁に逮捕。冤罪だと否認しているが、3月にはさらに別の女性に対する準強姦容疑で再逮捕。そして5月に3度目の逮捕となった。 その後、準強姦罪で東京地方検察庁に起訴されたが、警視庁はほかにも被害者がいるとみている。 新たな告発もなく、静けさを取り戻したかのようにみられていた映画界が再び騒がしくなっている。実は騒動の余波は“まだなくなっていなかった”と言うのは中堅映画配給会社の社員だ。 「大きく報道された監督、プロデューサー以外にもセクハラや性加害に加担していた疑いがある俳優たちの名前がイニシャルで報じられたりしました。中には名前が出た人もいました。もちろん実際にセクハラに及んでいた人もいますが、とばっちりを受けた俳優も何人かいます。 その人たちは“濡れ衣”だということを訴えたいのですが、方法が見つからないんです。世間から見たら無名の俳優たちなので、誰も見向きもしてくれません。自身のSNSで発信することくらいしかないのですが、これも注目されません。世間の反応はまだ仕方ないとしても、業界内でも疑いが晴らせず、そのため仕事ができない状態が続いています」 とばっちりは、無実の俳優だけではない。 「いわゆる単館系といわれるミニシアターもさんざんな目にあっています。疑惑がある俳優が出演した映画を上映しようとした有名なミニシアターには抗議の電話が殺到し、SNSで“もうあそこで映画は見ない。みんなもやめよう”などと“不観”運動を促す人も出てきて、シアター側は上映作品選びに苦労しています(前出・配給会社関係者) 俳優が何か不祥事を起こすと、決まって公開予定の作品が公開中止や延期に。また出演中のドラマや作品が放送中止や上映中止になり、DVDは販売中止、過去の作品が観られなくなったりする。 だが、最近は、“作品に罪はない”という声が大きくなってきている。ただそれは“不祥事”がドラッグや賭博など“直接の被害者”がいない場合に限られる。 性加害など鬼畜の行為によって、明らかに被害者が存在する場合、そんな声は聞き入れられることはない。 さらに、榊監督が再逮捕されたことで、再び問題が掘り返されている。 「榊監督には余罪がありそうですし、疑惑のある関係者がさらに出てくる可能性があります。映画やドラマを制作した後で、公開中止になることを恐れ、冗談ではなく“実写映画は止めて、これからはアニメにしよう”と言いだす監督やプロデューサーが増えました。 タレントでも俳優でも声優をやってもらって、もし何かあっても声の担当だけ変えればいい。それなら損害も少ないですしキャスト選びに悩む必要もないですから……」(制作会社プロデューサー) 映画界の混乱はまだまだ続きそうだ……。 文:佐々木博之(芸能ジャーナリスト) 宮城県仙台市出身。 31歳の時にFRIDAYの取材記者になり、数々のスクープを報じてきた。 その後も週刊誌を中心に活躍。 現在はコメンテーターとしてもテレビやラジオに出演中
FRIDAYデジタル