布団巻きつけて3歳児を虐待死させた母親、出会い系サイト使うなど夫の行動にも不満…冒頭陳述
3歳の長男に布団を巻きつけて死亡させたとして、傷害致死罪に問われた千葉県我孫子市の無職永沼楓月(ふづき)被告(28)の裁判員裁判の初公判が17日、千葉地裁(鎌倉正和裁判長)であった。永沼被告は「間違いありません」と起訴事実を認めた。検察側は冒頭陳述で、永沼被告が育児に悩み、孤立していた状況を説明。長男が泣きやまないことなどに困り、布団を巻くようになったと明らかにした。
起訴状などによると、永沼被告は2022年2月4日午後11時10分頃~25分頃、我孫子市南新木のアパート室内で、長男の清水奏良(そら)ちゃん(当時3歳)に布団を巻いて放置し、嘔吐(おうと)物による窒息で死亡させたとされる。
検察側の冒頭陳述によると、永沼被告は19年12月頃、元夫が出会い系サイトを使っていることを知った。同じ頃、元夫が家事や子育てをしないことを不満に思い始め、奏良ちゃんのお尻や頭を平手でたたくようになった。
21年夏頃、奏良ちゃんにトイレで排せつする練習を始めさせたが、奏良ちゃんは大声で泣き叫んだり、じだんだを踏んだりした。騒音に耐えかねた近隣住民から嫌がらせを受けることもあり、奏良ちゃんに「産まなきゃよかった」などと言うようになった。
同年11月頃、泣き声を聞いた近隣住民からの電話を受け、我孫子市の職員2人が永沼被告の家を訪問。永沼被告は虐待を疑われていると受け止めた。奏良ちゃんが泣きやまない時などに、布団で巻くことを繰り返すようになり、市からの電話にも対応しなかった。
検察側は、永沼被告が当時、育児などに心理的負担を感じていたと指摘。弁護側は長男を痛めつける気持ちはなかったと主張した。
元夫は証人尋問で、「自分のことを優先してしまった。育児に悩んでいるのはわかっていたが、参加していない自分が口を出すと、(永沼被告が)嫌な思いをすると思った」と話した。