平成の日本から生まれた大発明! カメラ付き携帯電話【山下メロの平成レトロ遺産:047】
記憶の扉のドアボーイ・山下メロです。記憶の底に埋没しがちな平成時代の遺産を今週も掘り返していきましょう。 【写真】今週のレトロ遺産! さて、現代のスマートフォンにおいてはカメラ性能が優位性として重要視されるまでになっています。しかし、もともとは通話をするための端末。初期の携帯電話にあった通話以外の機能は、電話帳や短文メッセージを送受信するようなものだけでした。 では、どのようにして携帯電話とカメラが結びついたのでしょうか。 まず、よく語られる初のカメラ付き携帯電話は2000年11月に発売されたシャープ製のJ-PHONE SH-04なのですが、実はそれ以前にもカメラ付きのPHSがありました。それが99年9月に発売された京セラ製のDDIポケット端末、VP-210です。 世界初のカメラ付き携帯電話なのですが、レンズは表側に配置されています。つまり写真撮影のためのカメラというよりテレビ電話が主目的なのです。固定電話におけるテレビ電話用のカメラと同じような役割でした。 続いて、00年2月に発売されたのが東芝製のNTTドコモ「キャメッセプチ」。これは携帯電話に外づけして使うカメラ付きメール端末でした。ディスプレーが搭載され、そこで結果を確認しながら撮影できます。 ディスプレー側にレンズがあることで自撮りにも対応。さらに、携帯電話と接続することで、撮影した画像をメール送信することができました。 テレビ電話を実現したPHSではレンズをつけることで端末が大型化しました。当時の技術で携帯電話の軽量小型感を維持するためにはキャメッセのように、外づけ端末にする必要があったのです。しかし、いちいち別の端末を接続しなくては写真が撮れないのでは手軽ではありません。 そんな中で、従来の携帯電話のサイズを変えることなくカメラを搭載することに成功したのが、シャープのSH-04だったのです。このヒットで業界最下位だったJ-PHONEは一気に2位に躍り出ました。ここからカメラ付き携帯電話の歴史が始まります。 撮影/榊 智朗