「三宮・花時計前」「旧居留地・大丸前」 駅名がいろいろ複雑な神戸市営地下鉄海岸線
全国的に大阪の鉄道の駅名が複雑なことはよく知られています。一方で、同じ関西で神戸も負けてはいません。コロナ禍以前に、阪急、阪神が三宮駅から神戸三宮駅に改称しましたが、これも大阪梅田と並ぶ「複雑」な駅名のひとつといえるでしょう。ところで、神戸市内において、最も複雑な駅名を有する路線は「神戸市営地下鉄海岸線」だと思います。全国的にも珍しいレア駅名が並びます。 【写真】車両の行き先表示…「三宮・花時計前」は複雑な駅名のひとつ
三宮と新長田を結ぶ神戸市営地下鉄海岸線
地下鉄海岸線は三宮・花時計前~新長田間を結ぶ全長7.9キロの路線です。三宮と長田を結ぶ路線は海岸線以外にも、地下鉄西神・山手線、JR神戸線、阪神神戸高速線があります。 海岸線は三宮・花時計前~ハーバーランド間はJR線と並走しますが、ハーバーランド駅から南へ進路を変え、和田岬駅、そしてヴィッセル神戸の本拠地「ノエビアスタジアム神戸」の最寄駅である御崎公園駅を経由して新長田駅に至ります。 長田区南部、兵庫区南部は朝夕ラッシュ時のみ運行するJR和田岬線を除くと、鉄道空白地帯でした。そこで、地元の足を確保するために建設されたのが地下鉄海岸線です。開業年は2001年です。 ただ、利用客数が少ないことから海岸線は苦戦が続いています。1日あたり13万5000人の利用で黒字という方針でしたが、4万人の利用にとどまり赤字が続いています。そのため、地下鉄海岸線は赤字の観点から話題にあがりやすい路線なのです。
花時計から500メートル離れている三宮・花時計前駅
駅名から地下鉄海岸線に迫るわけですが、対象とする区間は三宮・花時計前~ハーバーランド間です。 そもそも、駅名が長いです。三宮・花時計前駅、旧居留地・大丸前駅、みなと元町駅、ハーバーランド駅。各駅とも駅名が5文字以上です。 駅名が長い地下鉄駅では福岡市営地下鉄・馬出九大病院前駅、横浜市営地下鉄・伊勢佐木長者町駅がありますが、隣駅はいずれも多くて5文字です。地下鉄海岸線の場合は「・」を除いて、旧居留地・大丸前駅が7文字、隣駅の三宮・花時計前駅が6文字です。 次に駅に「・」(なかぐろ)が連続する路線も珍しいです。「・」がある駅は泉北高速鉄道の栂・美木多駅、阪神電気鉄道の鳴尾・武庫川女子大前駅があります。しかし、三宮・花時計前駅、旧居留地・大丸前駅のように2駅連続はレア度が高いです。 さて、三宮・花時計前駅はJR三ノ宮駅から南へ徒歩5分ほどの場所にあり、神戸国際会館の近くにあります。西神・山手線三宮駅との乗り換えが認められています。 駅名となった花時計は1957年に神戸市新市庁舎の建設に合わせて製作されました。もともとは市役所の北側に設置され、花時計の近くに駅を設けたことから、駅名に「花時計」が付いたというわけです。 しかし、2019年に市庁舎建て替えのため、花時計を約500メートル南にある東遊園地に移設しました。当初は仮住まいでしたが、2020年に花時計を東遊園地に恒久的に設置することに決定。その結果、三宮・花時計前駅で降りても、周辺には花時計がない、という事態になりました。