首相退陣唱える自民議員に冷めた声 野党幹部や首長は「正々堂々とやれ」「私ならしない」
自民党内で岸田文雄首相(党総裁)に対し、退陣や次期総裁選への出馬断念を迫る動きが公然と出始めている。9月の総裁任期を見据え、党内の権力闘争が始まったという見方もあるが、首相の求心力低下を内外に印象付けるような手法には、野党や自治体の首長からも冷ややかな声があがる。 【画像】次期衆院選での「政党議席予測」(5月27日時点) ■「覚悟を決めていえ」 「親分の歓心を買おうとする印象すら受けてしまう。許す親分も親分だが、あんまり良い姿ではない。本当にそう思っているなら覚悟を決めて、いえと思う」 立憲民主党の岡田克也幹事長は25日の記者会見でこう語った。念頭に置いたのが、4月に解散を決めた茂木敏充幹事長率いる茂木派(平成研究会)や、麻生太郎副総裁が会長を務める麻生派(志公会)の若手議員が首相交代論や首相批判を繰り返し唱える現状だ。 党内では若手だけでなく、菅義偉前首相も公然と首相の交代を求め始めた。23日公開のインターネット番組で、派閥のパーティー収入不記載事件に関して「首相自身が責任に触れず今日まで来ている。不信感を持っている国民は多い」と批判。総裁選で新たなリーダーが出てくるべきではないかと問われると「そう思う。党の刷新の考え方などを理解してもらえる最高の機会だ」と語った。 岡田氏は菅氏について「覚悟をもって発言していると思う」としつつ、「私なら、ああいう発言はしないだろうと思う」と距離を置いた。 ■「安全が確保されてから文句か」 自民若手が首相退陣を唱える状況については、国民民主党の玉木雄一郎代表も25日の記者会見で「(国会が閉会し)衆院解散がなくなり、鉄砲の弾が飛んでこない安全地帯が確保されて文句を言うのはどうか。そのこと自体が自民党に対する信頼を失うことにつながるのではないか。首を変えたら選挙を勝ち抜けるという発想が国民をバカにしている」とあきれたように語った。 党刷新を唱える菅氏に対しても「政治改革をやるならば(菅氏が最高顧問を務める党政治刷新本部の)中で、しっかりおっしゃる話だ」と指摘。その上で、「元社長が言っていることも、平社員が言うことも、どうなのか。内閣不信任決議案が出たときに賛成すればよかったのではないか」と挑発してみせた。 自民の現状に対する冷ややかな声は、自治体の首長からも漏れている。