「コンビニで新商品を買う」と科学的に運気が上がる…「自分はチャレンジを恐れない」と脳をダマす効能
どうすれば幸せな人生を送ることができるのか。明治大学の堀田秀吾教授は「好奇心を持って挑戦することがよりよい人生をもたらす。慎重な性格の人でも、ちょっとした習慣でチャレンジを恐れないようになれる」という――。 【この記事の画像を見る】 ※本稿は、堀田秀吾『世界の研究101から導いた 科学的に運気を上げる方法』(飛鳥新社)の一部を再編集したものです。 ■新しいものに飛びつく好奇心が運気を上げる 英語には、“Curiosity killed the cat.”「好奇心は猫を殺した=好奇心もほどほどに」ということわざがあります。 一方で、“A cat has nine lives.”ということわざもあります。 猫は9つの命があるほどなかなか死なないというものです。 そんな猫でも好奇心には大きなリスクを伴うものなのでしょう。 いわんや動物の中では身体的能力や耐久力という観点からは生命力が弱い部類に入る人間は……というわけです。 しかし、その正反対と言える「新しいものに飛びつく」ことで、運気を上げることができるのです。 好奇心とは、未知のものに関心を惹かれることですが、未知のものに飛びつくことは、たしかにリスクの高い部分があるでしょう。 人間を含む動物は、基本的に未知のものに注目し、警戒もします。 自分に害を与えるものかを確かめるためです。 一方で、好奇心は私たちを新しい場所や経験へと連れて行ってくれます。 時には予想もしない難しい状況に遭遇することもあるかもしれません。
逆に、好奇心がきっかけでまったく新しいことを見つけたり、思いがけない出来事に出会うこともあります。 実際、好奇心旺盛な人ほど成功する可能性が高い、すなわち、新しいものに飛びつくことが運気を上げることを示す研究があるからです。 レディング大学のジェニファー・キング・L・ラウらの研究では、マジックなどを見せたあとに、「不快な電気ショックを受けるかもしれないが、それでもそのタネ・答えを知りたいですか」と聞く実験を行いました。 結果、好奇心旺盛な人ほどそのようなリスクがあっても知りたがる、積極的に賭けに出る傾向があったということです。 ■知的好奇心がある人ほど学業で好成績を残せる また、チチェスター大学のソフィー・フォン・スタムらは、天才を調べた過去の研究をメタ分析し、知的好奇心がある人ほど学業面でのよいパフォーマンスが出せるということが分かりました。 賢さや努力と同じくらい、この好奇心も大事なわけです。 これは、考えてみれば至極当然の理屈です。 さまざまな可能性に満ち溢れる人生の中で、家族や恩師が敷いてくれたレールの上を走るだけで、自分が成功できる可能性が高い場所に辿り着ける人は、それこそ、よほど幸運な人に限られます。 そこから、自分の意思でレールを降りるにしても、自分により合った別のレールを見つけるにしても、簡単なことではありません。 別の新しいレールだって1本ではありませんし、その選択肢を広げるうえでも、いろいろな物事やジャンルに興味を持つ好奇心が大切です。 ■生まれつき慎重なタイプでも挑戦は習慣化できる ただ、リスクがあっても、恐れずに新しいチャレンジができる性質を「新規探索性」と言うのですが、この性質はかなり大きな割合で、遺伝で決まるものとされています。 つまり、もともと新規探索性を持っていない人もいるので、できるだけ、意識的に「新しいものに飛びつく」のが、運気を上げるアクションになるわけです。 コンビニや行きつけの飲食店などで、新商品・新メニューを見つけたら、とりあえず試してみる。 ChatGPTのような、無料で使える話題のものが登場したら、とりあえず試してみる。 そんな意識を持ち、習慣化できれば、生まれつき慎重な方でも、それはそれとして、「自分はチャレンジを恐れない人間だ」と脳を騙せます。 さらに、慎重な性格でも、「チャレンジするほうが成功しやすい」と理解し、信じられれば、よりよい人生のために勇気を出すこともできるはずです。 基本的に人間は、いろんなことをやっているうちに、自分の好きなもの、自分に合ったものを学んでいく生き物です。 だから、猫はともかく、好奇心は人を殺さないのです。 それどころか、その可能性を広げるきっかけとなってくれます。 さらに言うなら、「好奇心」という言葉の定義を広げれば、危険と隣合わせで生きる人であっても、好奇心が重要な存在と考えることも可能です。