【高校野球】日本航空石川が大引啓次さんの40歳バースデーを祝う白星「評価に値する結果」
◇練習試合 日本航空石川3-3浦和学院/日本航空石川6-3慶応=特別ルール=(29日・おふろcafeハレニワスタジアム熊谷) すでに開幕している地区を除き、多くの高校野球チームがこの週末、夏最後の練習試合に臨む。オーダーもガチモードで組まれており、見応えは十分だ。 「あついぞ!熊谷」でおなじみ、埼玉・熊谷市内にある「おふろcafeハレニワスタジアム熊谷」(すごいネーミングライツ!)には、浦和学院、慶応、日本航空石川の強豪3チームが集結し、変則ダブルヘッダーに臨んだ。 試合前、早大OBの浦和学院・森大監督に「きょうは監督さんが早慶明のOBによる激突ですね」と話すと、こう返された。 「法政もいますよ!」 視線の先には大引啓次さんがいた。大阪・浪速高から法大に進学後、東京六大学リーグ史上5位の121安打を放ったバットマン。2006年大学・社会人ドラフト3巡目でオリックスに入団。13年に日本ハムにトレード、15年にヤクルトにFA移籍。通算1288試合に出場して打率2割5分1厘、48本塁打、356打点の成績を残した、職人肌の内野手だ。 実は大引さんは2年前の今頃から時折、日本航空石川の遠征先を訪れ、ナインに助言をしている。神戸弘陵、明大OBの中村隆監督とは高校時代からよく練習試合で対戦する間柄で面識があり、大学時代は「血の明法戦」で相対した。2年前に偶然再会し、大引さんが学生野球資格を回復したと知った中村監督が「時間があれば指導に来てもらいたい」とラブコールを送り、練習場所へ足を運ぶようになった。 この日の練習試合でもナインの奮闘をスタンドから見守った。チームは浦和学院に3-3で引き分けたが、昨夏甲子園覇者の慶応には6-3で勝利した。大引さんは試合後、目を細めて言った。 「相手の打者を一人ひとり見ても、能力が高いと思っていました。臆することなく立ち向かい、アウトを積み重ねて勝ちきったことは、評価に値する結果だったと思います」 「6・29」は大引さんの40歳の誕生日。節目の記念日に、日本航空石川の選手たちは白星という名のプレゼントを贈った。 主将の宝田一慧(3年)は笑顔でこう語った。 「きょうが誕生日であることは、もちろん知っていました。レベルの高いチームと試合をさせていただき、いい試合ができて勝てたことは、本当にうれしい気持ちです」 熊谷特有の強烈な太陽光線を浴びながら、大会本番さながらに魂を燃やした、学びの多い2試合。石川にも熱い夏が、もうすぐやってくる。(加藤 弘士)
報知新聞社