薬「虹波」、東京や香川でも投与 ハンセン病療養所で300人超
戦中戦後に国立ハンセン病療養所菊池恵楓園(熊本県)で開発中の薬「虹波」を患者に投与していた問題に関連し、同じハンセン病療養施設の多磨全生園(東京都)と大島青松園(香川県)でも当時、計355人に虹波を投与していたことが4日、国立ハンセン病資料館(東京都)への取材で分かった。治療のため投与し、副作用が出たことなどが記載された資料が残っていた。 菊池恵楓園は6月、1942年12月から47年6月まで臨床試験が行われ、被験者は判明しているだけで472人だったとする中間報告書を公表していた。今回、他の療養所でも投与されていたことが確認された。 多磨全生園と大島青松園に関しては、同資料館の図書館が所蔵する47年10月発行の学会誌「皮膚科性病科雑誌」に、日本皮膚科学会総会で発表された内容が記載されていた。6月に資料館が虹波関連資料を調べた際に見つけた。 多磨全生園は「虹波の治療成績」、大島青松園は「らい患者に対する虹波の実験成績」として、それぞれ当時の園長ら2人が報告していた。