あとにも先にもない、しびれるような緊張感 将棋のアマチュア大会は団体戦も熱い!
注目対局や将棋界の動向について紹介する「今週の一局 ニュースな将棋」。専門的な視点から解説します。AERA2024年11月18日号より。 【貴重写真】和服じゃない!スマホ片手にデニム姿の藤井聡太さん * * * 将棋のアマチュア大会は、個人戦だけでなく、団体戦も熱くて面白い。 今年11月4日、東京体育館で開催された第126回職域団体対抗将棋大会(通称・職団戦)には、実に400を超えるチームが参加した。1チームは5人。選手全員が並んで座り、それぞれが相手と1局ずつを指し、3勝以上すれば試合勝利となる方式だ。今回、最上位クラスのS級で優勝のリコー、準優勝の富士通などは上位の常連で、アマトップクラスの強豪選手が集っている。一方で下のFクラスなどでは、職場に将棋好きが増えたので、級位者まで含めて、新たにみんなで参加したというチームもある。 学生将棋界では、団体戦に青春をかけている若者も多い。大学スポーツでたとえるなら「箱根駅伝」のようなものだ。年末に開催される学生将棋団体対抗戦(通称・学生王座戦)には各地区代表の大学10チームが集い、7人制で戦う。世代を代表するようなスーパーエースが思わぬ伏兵に敗れたり、優勝をかけた最終戦でどちらのチームも3勝ずつをあげ、残る1局ですべてが決まるという、作ったようなドラマが起こったりもする。 近年の優勝校は東京大、早稲田大、立命館大など。関東と関西に伝統的な強豪校が多いが、他地域の大学もレベルアップが目覚ましい。 筆者も大学時、学生王座戦に出場したことがある。あれほどしびれるような緊張感の中で将棋を指した経験は、あとにも先にもない。数十年経ったあとでも将棋部の出身者が集うと、つい昨日のことのように、団体戦の思い出を語り合ったりする。 かつてのラグビー日本選手権のように、将棋では社会人と学生の団体戦優勝チームが対戦する。7人制での頂点の座を争う、真剣勝負だ。これまでは社会人17勝、学生17勝。完全に拮抗した成績が残されている。(ライター・松本博文) ※AERA 2024年11月18日号
松本博文