【フローラS回顧】オークス狙いのローテーションが勝利の鍵 アドマイヤベルの血統の奥にはゼダーンの名前も
一貫して東京芝2000mにこだわったアドマイヤベル
オークスへの2枚の優先出走権がかかったフローラSは2000年以降、条件を変えず(2000年のみ名称は「サンケイスポーツ賞 4歳牝馬特別」)、春の東京開幕週芝2000mで固定されてきた。桜花賞までマイル中心だったこの路線は、中距離を走り慣れていない馬も多く、ほぼスローペースの瞬発力勝負になる。 【マイラーズカップ2024 推奨馬】総合力はNo.1、京都マイルは連対率100%で相性抜群! SPAIA編集部の推奨馬を紹介(SPAIA) フローラSの名称になってこれまで24回行われてきたが、2分を切ったのは16年チェッキーノがはじめてで、今年を含め、7回しかない。最速は20年ウインマリリンの1:58.7。58秒台は昨年のゴールデンハインド1:58.9を合わせ2回。今年はそれに次ぐ1:59.0でアドマイヤベルが勝利した。 競馬は決着時計だけでは評価できず、その内容と位置取りによって変わるもの。ウインマリリンはオークス2着、4歳になって牡馬相手に重賞を二つ勝ち、5歳時には香港ヴァーズを制した。一方、ゴールデンハインドはオークス11着など、フローラSより後は未勝利で引退した。同馬はフローラSを好時計で逃げ切ったことで、その反動が出てしまったようにみえる。 昨秋以来のAコース施行の東京は例年通り、緑が眩しい絶好の状態であり、高速決着が続いた。1:59.0という走破時計自体は馬場のアシストがたぶんにあった。しかし、前半の先行争いで1ハロン11秒台を2度も踏み、その後も極端なペースダウンもなく、前半1000m通過59.7は3歳牝馬には厳しいものがあった。 意図的に息を入れようという区間が少なく、ラップに上下が少ないのは古馬にとってもキツい。そこから残り600mを11.6-11.6-11.8でまとめ、後半1000m59.3で乗り切った上位馬たちにはスタミナを感じる。 内側でゴチャつく攻防をよそに外から抜け出したアドマイヤベルは、序盤のポイントになる周回コースへの入り口でしっかり位置をキープし、折り合いもきっちりついた。思惑通り運び、直線でも残り400mまで手応え十分となれば、負ける要素はなかった。 完成されたレース内容は8月新潟でデビューしてから、一貫して牡馬相手に東京芝2000mを走らせ続けたローテーションが大きかった。3、2着と勝ちこそしなかったが、その成果が重賞制覇につながったと考えるなら有意義なものだったといっていい。目先の勝利や賞金加算にこだわらず、最初からオークス狙いと割り切った戦略の勝利だろう。