インテル、アマゾン向けカスタムAIチップ製造へ-独工場延期
(ブルームバーグ): 米インテルのパット・ゲルシンガー最高経営責任者(CEO)は、製造事業においてアマゾン・ドット・コムのクラウドサービス部門アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)を顧客として獲得した。これにより、米国で建設中の新工場に仕事がもたらされる可能性があり、苦境に立たされているインテルの再建に向けた取り組みが後押しされそうだ。
16日の発表文によると、インテルとAWSは「複数年にわたる数十億ドル規模の枠組み」で、人工知能(AI)コンピューティング用のカスタム半導体に共同投資する。この作業は、インテルの18Aプロセスという先進的なチップ製造技術に依存する。
発表を受けインテルの株価は米株式時間外取引で一時10%近く上昇した。年初来では58%下落しており、16日通常取引終値は20.91ドルだった。
ゲルシンガーCEOはインタビューで「今日の発表は大きなものだ」と述べ、「非常に洗練されたデザイン能力を持つ、非常に目の肥えた顧客だ」と語った。
インテルはまた、ドイツとポーランドにおける新工場の建設を延期する一方、アリゾナとニューメキシコ、オレゴン、オハイオの各州における米国事業拡大には引き続き取り組む。
2021年にインテルの大胆な復活計画に着手したゲルシンガー氏は効率性の名の下に、幾つかの野心的計画の縮小を余儀なくされた。売上高の減少と損失の累積を踏まえて同社は先月、1万5000人の人員整理と100億ドル(約1兆4000億円)のコスト削減、配当支払い停止を発表した。そして今後、海外を中心に事業拡大計画をさらに抑制する。
インテルによると、ポーランドとドイツの建設プロジェクトは、市場の需要に応じて約2年間中断される。マレーシアの別のプロジェクトは完了するが、稼働するのは条件が整う場合に限られる。
インテルはまた、ファウンドリー事業(IFS)を他の事業部門からさらに切り離し、完全所有子会社とする。インテルと競合する顧客候補に対し、独立したサプライヤーとの取引であることを納得させるのが目的の一部。ゲルシンガー氏はインタビューで、「ファウンドリーになるにはまだ学ぶべきことがある。多くの顧客が必要だ」と述べた。