浦和と鹿島の首位攻防戦を台無しにした暴言騒動の真相とは?
J1戦線で首位に立つ浦和レッズと昨シーズンの覇者・鹿島アントラーズが、今シーズン最多となる5万7447人の大観衆で埋まった埼玉スタジアムで激突した4日の頂上決戦後に異例の騒動がぼっ発した。 試合後の取材エリアを無言で通り抜けることが少なくない鹿島のキャプテン、MF小笠原満男が、この日は立ち止まり、おもむろに「ひとつどうしても言いたいことがあって」と、試合中に起こった出来事について言及し始めたことが騒動の発端だった。 「レッズの森脇(良太)選手が、ウチのレオ・シルバ選手に対して『くせえな、お前』という言葉を発したことが、どうしても許せなくて。立派な言葉の暴力だと思うし、差別ととらえられてもおかしくないこと。非常にいいゲームだったんですけど、それが残念なことなので」 小笠原が問題視したシーンは後半33分。浦和の陣内のコーナーフラッグ付近で、ボールをキープする鹿島MF土居聖真と浦和DF槙野智章が競り合う。そこへ浦和FW興梠慎三がサポートに加わり、3人が入り乱れるなかで、松尾一主審が土居のファウルを告げるホイッスルを吹いた。 直後に興梠が土居を突き飛ばした行為に、鹿島の選手たちが猛抗議を始める。両チームがもみ合うところへ加わろうとした森脇が小笠原に対して突然、激怒し、猛然と詰め寄って一触即発の状態となったところで、浦和DF那須大亮が慌てて仲裁に入って2人を引き離した。 その後も両者の怒りは収まらず、混乱をきたしているピッチにスタジアム中が一時騒然となった。小笠原によれば、この渦中で件の発言があったという。 「両チームが入り乱れたなかでレオも止めに行こうとして、近づいていったときに、明らかに口と鼻を手でふさぐジェスチャーで『くせえな、お前』と言ったと思うので。試合後に話をしたレオ(・シルバ)も『彼はいつも僕に対してそういうことを言う』と。これまでウチにいたカイオやダヴィに対しても同じようなことが繰り返されていたので、ちょっと自分のなかでは限界。映像を見てもらえれば残っていると思うんですけど。どこにどう言えばいいかわからないけど、どうにか皆さんで検証してもらえれば」 暴言を浴びせられたというレオ・シルバも続けて取材エリアに姿を現し、神妙な表情を浮かべながら「僕としては非常に悲しいこと」とこう続けた。 「ゴールデンウィークで子どもたちが休みのなかで、我々選手はお手本あるいは見本となるべきプレーや姿勢、言動、振る舞いを見せなければいけないと監督からミーティングで言われていた。これだけ注目度が高い試合で、そのような行為があったことは、非常にがっかりする部分がある。 日本での生活のなかで、正直、日本国民は外国人をしっかりと受け入れ、それぞれの国の文化と習慣に対して敬意をもって接するイメージをもっている。悪いことは、最初から止めていかなければいけない。でなければどんどんエスカレートして、その言葉から違う意味の暴力に発展しかねない」