トヨペット・コロナ(昭和39/1964年9月発売・RT40型)【昭和の名車・完全版ダイジェスト025】
より大きく、広いことがアドバンテージだった
この連載では、昭和30年~55年(1955年~1980年)までに発売され、名車と呼ばれるクルマたちを詳細に紹介しよう。その第25回目は、日産ブルーバードとのベストセラーを巡る死闘を制した三代目トヨペット・コロナの登場だ。(現在販売中のMOOK「昭和の名車・完全版Volume.1」より) 【写真はこちら】「10万キロ連続高速走行テスト」を実施して高速耐久性能を訴求した(全8枚) 初代、二代目とブルーバードの後塵を拝してきたコロナの、起死回生の1台となったのがこの三代目RT40型だ。実質的にトヨタVS日産の勝負を決めた1台とも言えるだろう。ここまではライバルたるブルーバードにコロナは劣勢だった。 しかし、この昭和39(1964)年9月のモデルチェンジでは、排気量を上げパワーアップしたエンジンや、ブルーバードより大きいだけでなく、ボディスタイルの力強さを前面に押し出すことで、車格が上であることを演出することに成功したのだ。 ブルーバードもその後、コロナを上回る販売台数となることもあったが、トヨタは販売力の強さを活かし、昭和40年後半には完全にブルーバードに販売台数で勝るようになる。 快進撃を支えた要因を具体的に見ていこう。主な要因が斬新なスタイリングだった。国産車では例のないクリーンカットと呼ぶスラントノーズを鏃(やじり)に見立て、ボディ側面には的に向かって飛ぶ矢をイメージした「アローライン」を入れて強い疾走感を演出したのだ。 これは、このときからフルサイズのクレイモデルでスタイリングの最終検討ができるようになったのが大きかった。クレイモデルをもとにしてプラスチックのマスターモデルを作り、これを原型として外板形成することで、デザイナーの意図したとおりのスタイルとできたのだ。 ボディサイズ自体もクラス最大で、とくに全幅を60mm広げて安定感を高めると同時に、後席幅をブルーバードより70mmも広い1290mmとするなど居住性を大幅に向上させて好評を得ている。この当時、大きい、広いという事実は大きなアドバンテージとなった。