【関東大学バスケットボール新人戦】激戦区関東予選から全国へ最後の切符を手にしたのは昨年3部の立教大学
「一戦一戦を大切に」経験不足を解消
第64回関東大学バスケットボール新人戦は、東海大学が5年ぶり7回目の優勝で閉幕。今大会の上位7チームが関東代表として、7月8日から北海道・北ガスアリーナ札幌46にて開催される第2回全日本大学バスケットボール新人戦(新人インカレ)への出場を決めた。優勝した東海大学をはじめ、日本体育大学、専修大学、中央大学、日本大学、白鷗大学が名乗りを挙げる。最後の一枠を決める7位決定戦・山梨学院大学vs立教大学は、決勝以上に白熱した試合となった。 山梨学院大学は、日本体育大学との準々決勝でインサイドの要である #95 スヴェトリシック イゴールをケガで欠いてしまう。それでも順位決定戦の初戦は、白鷗大学に64-65とあと一歩というところで及ばなかった。昨年に昇格した1部リーグで揉まれたディフェンスで活路を見出す。対する立教大学は、昨年の3部リーグを勝ち抜き、今シーズンから2部昇格を果たしたばかり。高さも強度も違う1部リーグを相手に、188cmの #24 佐藤拓海がペイントエリアで気を吐いた。順位決定戦初戦は日本大学に71-87で敗れたが、佐藤は37点、13リバウンドと活躍。イゴールが不在の山梨学院大学とは身長差がない。しかし試合前、「もしかしたら出てくる可能性もあったのであまり気にせず、どんな相手だろうと最初から全力で挑もうとみんなで話しました」と己の力を信じて格上へ向かって行った。 立教大学は上級生が主体のチームであり、2年生のほとんどが昨年はプレータイムを与えられず、ベンチ入りさえできなかった選手も多い。試合経験の足りなさが、不安要素でもあった。「一戦一戦を大切に戦って行ったことで、試合慣れしていくことができました」と佐藤は言い、今大会を通じて不安を払拭していく。昨年のチャンピオンである大東文化大学との2回戦は、64-61で金星を飾る。続く、昨年は1部リーグだった江戸川大学も82-73で退け、ベスト8進出を決めた。佐藤は勝因について、「ディフェンスとリバウンドを最初から第4クォーターまで粘り強く、最後まで集中してできていました」と練習の成果を発揮する。 新人インカレまであと1勝に迫る中、準々決勝は日本体育大学に68-77、続く日本大学にも敗れ、山梨学院大学とのラストチャンスにかける。立教大学は積極的にリバウンドに絡み、チャンスをもぎ取る。奪ったオフェンスリバウンドは16本。第3クォーターを終え、60-47と立教大学が13点差をつけた。しかし、山梨学院大学も1部リーグの意地を見せる。関東大学スプリングトーナメントから華々しい活躍を見せてきた山梨学院大学1年 #14 菅野陸が、勝負強く3ポイントシュートで点差を縮める。残り2.3秒、ディープスリーを決めて3点差まで迫られた。 「競った試合を勝ちきれなかったことは、実際に戦ってみなければわからなかったことです。チーム全体として新たに見つけられた課題です。山梨学院大学戦もその課題が修正できていなかったことで、最後は競った試合になってしまいました。でも、第3クォーターまでは自分たちのディフェンスとリバウンドができていたので、そこは良かったです」(佐藤) 大東文化大学に3点差で勝利した経験が少なからず活かされ、山梨学院大学の猛追を振り切り、73-70で立教大学が逃げ切った。試合後のロッカールームでは、「率直にうれしい気持ちはもちろんありましたが、今日の試合で出た自分たちの課題をしっかり修正していくことをみんなが強く言っていました。勝って浮かれるのではなく、その課題にしっかり取り組んで、次の大会にまた臨んでいきたいです」と佐藤は明かし、コーチも学生の立教大学は全員で成長しながら、全国への切符をつかみとった。 #26 常陸匠は5本の3ポイントシュートを決め、28点の大活躍。新人インカレ出場を逃した山梨学院大学だが、ルーキーの菅野は得点王(101点/平均20.2点)と3ポイント王(13本成功)に輝き、優秀選手賞にも選ばれた。この2人の点の取り合いも見応えがある7位決定戦だった。