タワマン「空き部屋」所有者に課税案 神戸市の有識者会議が報告書
神戸市の久元喜造市長は8日、所有者はいても居住実態のないタワーマンションの「空き部屋」の増加を抑えるため、所有者への課税を検討する意向を明らかにした。市では2020年から街の中心部でタワマンの新築を事実上規制している。市によると、タワマンのみを対象とした課税が実現すれば、全国の自治体では初めてという。 【画像】タワマン規制する神戸「廃棄物作るに等しい」 人口争奪戦の是非 神戸市に設置された「タワーマンションと地域社会との関わりのあり方に関する有識者会議」(座長=上村敏之・関西学院大教授)が、久元喜造市長に課税案を含む報告書を手渡した。 久元市長は「タワマンの問題を次世代に先送るすることなく、全国に先駆けてこの問題に対処していきたい。様々なご意見をいただきながら検討を進める」と語った。 有識者会議は昨年5月に発足。大規模災害が発生した際の給水などの対応や、住民が賄い切れなくなった修繕積立金や解体費用といった、行政が負担する可能性がある課題について検討してきた。 今回の報告書では、自治体が条例で独自に課税する法定外税を念頭に、居住実態のない部屋の所有者を課税の対象とした。空き部屋増加の抑制を目指す理由として、投資やセカンドハウス目的で所有が増えると価格が高止まりして適正価格での取得ができない▽空き部屋が増えると修繕や解体の際の合意形成が困難になる▽修繕や建て替えができないと廃虚化する、などとしている。 ただ、有識者会議では「住んでいないことで負担を求めることが適切なのか」などの慎重な意見もあった。また、市が課税を実現させるためには、市議会での条例案の可決や、導入についての国からの同意が必要となり、ハードルはいくつかある。
朝日新聞社