日本株ブームは終わらない、企業業績信頼で17年ぶり利上げにもめげず
投資家が次に気にしているのは、日銀が追加利上げに踏み切るタイミングだ。ブルームバーグの調査によると、エコノミストら47人のうち約62%が10月までに日銀は再利上げに動くと予想している。
JPモルガン証券クオンツストラテジストの高田将成氏は「短期金利ゾーンで追加利上げ観測が強まれば、今後の市場環境に影響を及ぼす」と分析。株式市場では内需関連株を買い、外需関連株を売る「日銀追加利上げトレードが増えそうだ」と読む。
投資家らが日本の経済成長の恩恵を受ける日本企業に照準を合わせていることは確かだ。日本株投資に特化するエバーリッチ・アセット・マネジメントは、日銀のマイナス金利解除後も銀行株や建設株への追加投資を検討している。運用資産194億円(19日現在)の同社の「ニッポン・グロース・ファンド」は大手ゼネコンの大林組や鹿島の株式を保有しており、今年のパフォーマンスは競合ファンドの98%に対し上回っている。
日銀政策変更で高成長時代到来、銀行や建設株買い増し-エバーリッチ
しんきんアセットマネジメント投信の藤原直樹氏は「日本の賃上げが進むと実質購買力が上がり、内需企業の方に大きなメリットが出てくる」と分析。内需関連セクターは、夏には好転するとみている。
ただし、日銀は利上げに踏み切る一方、国債買い入れの継続や低金利を維持する姿勢も同時に示しており、このままインフレが定着し、日本の内需セクターが明るくなるかどうかについて懐疑的な見方があるのも事実だ。実際、日銀が利上げを決めた19日の金融政策決定会合以降の為替市場では、円安が加速した。
独立系調査会社の智剣・Oskarグループの最高経営責任者(CEO)、大川智宏氏は「日本の国民性を考えると、給料が少し上がったからといって消費に回るかといえば、そうでもない」と言う。内需が振るわない中で無理に賃金を上げれば、労働分配率は低下し、「結局企業の収益や利益が圧迫される」と警戒している。