ウェブページの情報は「発信者が誰か」をまずチェック!
スマホは使うけどネットやデジタルの知識には自信がない。でも、今の子供たちはネットやパソコンを使うのが当たり前だから、もう少し分かるようになりたい。そんな保護者の方に向けて、AI時代に知っておきたいネットの常識や役立つ情報を紹介します。 前回は検索サイトの見方について紹介し、検索結果ページで情報を見るのではなく、必ず「検索結果ページの先のウェブページを見に行く」という原則をお伝えしました。とはいえ、たくさん出てくるウェブページの候補からどれを見たらいいのでしょうか。今回はウェブページの選び方の基本を紹介します。 ■ 誰が発信しているウェブサイトなのかをチェック インターネット上にあるウェブページにはそれを作っている発信者がいます。会社のような大きな組織の場合もあれば、個人の場合もあります。ウェブページの選び方の基本は、発信者が誰なのかを確認することです。 インターネット上でウェブサイトを公開するときには、どこかの許可を得たり、チェックを受けたりするような仕組みや決まりはないので、誰でもどんな内容でもウェブサイトを公開することができます。その中からどの情報を選ぶかは、私たち自身が判断しなければなりません。 例えば、Google検索で「パンダ」を検索したときに上位に表示されるウェブページの一覧を見ると、次の図の通りさまざまなウェブページが表示されます。まず注目して欲しいのは、「どのウェブサイトのページなのか」ということです。次の図のオレンジの線で囲んだところにウェブサイト名が書かれています。 1冊の本がたくさんのページでできているように、1つのウェブサイトもたいてい複数のウェブページでできています。本に作者がいるように、ウェブサイトには運営している発信者がいますから、まずは誰が発信者なのかを把握しましょう。 検索結果には、ウェブページが単体でリストされるので、本で言えばいきなり途中の1ページだけを切り取って見せられているようなものです。どんなタイトルの本で作者は誰で、本の中のどういう位置にあったページなのか……ということを、ウェブページの場合も確認することが大切です。 なお、検索結果ページに表示されるウェブサイト名を見るだけではわからないことが多いので、実際にリンクをたどってウェブページを開き、さっと確認する習慣を付けておきましょう。一般的に、ヘッダー(上部)にロゴやサイト名が記載されていて、「HOME(ホーム)」のリンクをたどればウェブサイトのトップページに行けます。また、ヘッダーやフッター(下部)のどこかに「このサイトについて」「運営会社」などのリンクがあることが多いのでチェックしましょう。 ■ 発信者の「顔」をイメージして情報との距離感をつかむ では、どのような発信者の情報を選んで見たらいいのでしょうか。これには絶対的な答えはなく、知りたいことの質や精度によって変わります。人に話を聞くときでも、正確な情報を知りたいときは専門家の話を聞きたくなるし、息抜きに話したければ楽しい話題をたくさん知っている人と話したくなるのと同じです。 例えば、パンダの生活習慣や食べ物などについて知りたい場合、動物園が発信している情報なら安心できそうです。動物園では情報量が少ないと感じたら、パンダに詳しい専門家や研究機関など、ほかの情報源を探してもいいでしょう。 では個人が発信しているブログなどのウェブサイトは見る価値がないのかというとそんなことはありません。個人でも特定の分野に詳しい人がたくさんいて、それらの情報にも触れられるのが、ウェブの面白くて公平なところです。例えば、「パンダの写真を楽しみたい!」とか「世界のパンダグッズを見たい!」というときに貴重な情報源となるはずです。 なお、検索結果によく出てくる「Wikipedia(ウィキペディア)」というのはウェブ上の百科事典で、知りたいことの全体像をさっと把握するのには便利です。ただし、Wikipediaはどこかの会社が責任を持って内容を編集しているわけではなく、一定のルールを守る前提で世界中の誰もが編集できる仕組みで作られています。そのため、内容の正確性が保証されているわけではなく、論文で引用できるようなタイプの情報源ではありませんので、この点はよく知っておいてください。 本や人の場合は「誰」が発信しているかを気にする習慣があっても、ウェブ上の情報になると急に無頓着になってしまう傾向があります。「インターネット」や「Google」は情報の発信者ではありません。必ず「誰か」が発信していますから、その顔をイメージして情報との距離感をつかみましょう。
こどもとIT,狩野さやか