拉致被害者救出へ国民大集会「要求下げず交渉を」 岸田首相は「働きかけ強める」と応じる
北朝鮮による拉致被害者救出を求める「国民大集会」が11日、東京都内で開かれ、岸田文雄首相は日朝首脳会談の早期実現へ「働きかけを強める」などと述べた。 【グラフィックで見る】政府が認定した日本人拉致被害者(未帰国) 被害者の横田めぐみさん(59)=拉致当時(13)=の弟で、家族会代表の拓也さん(55)は、4月下旬~今月初めの日程で実施した米ワシントンへの訪問結果を報告。「親世代が存命中に全ての被害者の即時一括帰国が実現するのであれば、日本政府からの北朝鮮への人道支援実施や、独自制裁の解除に反対しない」とした新たな運動方針について米側へ説明し、「誰からも異論や反論はなかった」と成果を強調した。 その上で、日本政府に対し「水面下の日朝交渉で厳しい条件闘争があると思うが、全被害者の即時一括帰国という要求の水準を下げることなく、怒りの気持ちを持って交渉を続けてほしい」と改めて要望した。 また、めぐみさんの母、早紀江さん(88)は北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党総書記に「決断」を呼びかけ。「心を変えてください。被害者全員を親のもとに返してください」と訴えた。 家族の発言後、登壇した岸田首相は「時間的制約のある拉致問題は、ひとときもゆるがせにできない人道問題だ。ご家族はもとより、国民の間にも、そうした差し迫った思いが強まっている」との認識を表明。日朝会談に向け「トップ同士が腹を割って話し合う関係の構築が極めて重要。さまざまなルートを通じてさまざまな働きかけを絶えず続けているが、一層強めていく」と述べた。 集会には林芳正官房長官兼拉致問題担当相らを含め約800人が出席。新潟在住の帰国被害者、曽我ひとみさん(64)も参加し、一緒に拉致されて今も安否不明の母、ミヨシさん(92)=同(46)=との再会実現を訴えた。 最後に全員で「北朝鮮は全ての拉致被害者を早急に返せ」などと声を合わせ、閉幕した。