家の猫の話 Vol.8/執筆: ピエール瀧
先日、『地面師たち』絡みのトークイベントを渋谷でやった際、お客さんから猫グッズの詰め合わせのプレゼントを頂きました。その中に、電動で動く『DANCING FISH』なるおもちゃが入っていたので、イベント帰宅後に我が家の猫達に早速投入してみました。 ピエール瀧さんのお家の猫たち、黒猫のコンブ(オス)、キジトラのブイヨン(メス)、茶毛のコロッケ(オス)の3匹についてのエッセイ連載。/家の猫の話
この『DANCING FISH』、文字通り魚の形をした猫用おもちゃです。充電式で、電源スイッチを入れたままにしておけば、外部から衝撃を受けた際にオートマチックでピチピチ動く仕掛けになっています。中身の機械部のところにまたたび袋を忍ばせられる構造になっているので、その匂いに釣られて猫たちはちょっかいを出さずにはいられないという、考え抜かれた魅惑のシステム になっています。
この見慣れないメカ魚にまず反応したのはやんちゃ盛りのコロッケ。メカ魚に勢いよく飛びかかってまずマウントを取り、そこから両手で力強く魚を抑え込み、さらに高速猫キックの連打で仕留めにかかるという、ほぼUFCの戦い方(UFCの場合は手足逆)というガチ興奮ぶりです。おもろ!
その傍らでは、メカ魚が入っていた細長い箱に残った付属のまたたびの匂いに釣られてブイヨンがフンフン言いながら箱に頭を突っ込んでいます。しかし、そのあまりのジャストサイズぶりに頭が抜けなくなってしまい、頭の先がにょ~んと伸びた猫チェンソーマンのようなフォルムになって「抜けない! 抜けないのよ!」とパニックになってオロオロしています。こっちもおもろ!
リビングでのそれらの騒ぎが収まった頃、年長猫のコンブがおもむろにやってきてどっかとメカ魚の脇に座り、落ち着いた立ち振る舞いで「これは俺のな」といった長老感を醸し出しながらメカ魚を抱っこ。そして、コンブにとってはたまに動いたりする“またたび枕”と化したメカ魚に頭を乗っけてそこから静かに独占。やっぱやるな、コンブ。
これらの一連を眺めていた我々人間家族は大爆笑。おかげでとても楽しい時間を過ごせたのですが、恐ろしいことに一晩経った翌日には全猫がこのメカ魚に飽きていました。