線状降水帯…気温2℃上昇で1.3倍に 気象研究所が試算 九州でナゼ?“明け方”被害多く【武居信介の防災学】
◆2℃の気温上昇で線状降水帯の発生は1.3倍に
さらに注意しないといけないことに温暖化があります。温暖化が進むことによって線状降水帯の発生が今後増えていくというのです。 気象庁の気象研究所の試算によると、気温が2℃上昇した場合には線状降水帯の発生確率は現在の1.3倍に上昇するという予想になりました。また、気温が4℃上昇した場合には、1.6倍も線状降水帯が発生するというのです。さらに、それぞれの線状降水帯が発生した場合の総降水量もこれまでよりも増える結果となっています。 地域を見ても予想では九州などで増えることはもちろん、これまで線状降水帯が発生することが少なかった北日本でも多く発生する予想となっているのです。気象庁では、研究を重ねることで予測精度の向上を図り、将来的には府県単位ではなく、市町村単位で線状降水帯の予測情報を発表できるように準備を進めたいとしています。 今後、さらに増加すると予想される線状降水帯。私たちは、これまでに経験したことのないような短時間に大量な雨が降り続くケースを想定して、いかに早くどのタイミングで、どこに、どのルートで避難するのか決めておくなどの対策とともに、正確な情報をいち早く入手する方法を決めておくことが重要です。
【筆者プロフィル】
元中京テレビ報道局担当局次長。気象予報士であり、国土交通大臣委嘱「気象防災アドバイザー」として活動も行う。現・名古屋大学減災連携研究センター研究員。