線状降水帯…気温2℃上昇で1.3倍に 気象研究所が試算 九州でナゼ?“明け方”被害多く【武居信介の防災学】
発生するメカニズムは、前線に向かって暖かく湿った空気が大量に入り込んで線状にいくつもの積乱雲が発生するケースや、積乱雲の風上側に次々と新しい積乱雲が発生して(バックビルディング)発達して移動することで同じ場所に積乱雲の列が居続けることによるケースが知られています。 レーダー画像で長く赤く示される雨雲が線状に並んでいるケースがよくありますが、雨雲が並んでいても同じ場所にとどまらず、例えば東に移動していくような場合は、線状降水帯とは言いません。 同じ場所にとどまって雨を降らせ続けることが線状降水帯の定義では重要なポイントで、同じところで集中豪雨が続くので災害に結び付くケースがとても高くなるのです。
◆線状降水帯 九州では注意が必要なシーズン
九州や沖縄の南日本では線状降水帯が5月ごろから発生しはじめて、6月と7月の梅雨時に特に多く発生しており、豪雨災害となった場合の大半で線状降水帯が発生しています。8月と9月は台風による大雨が多くなっています。 東日本では9月に線状降水帯の発生が多くなっていますが、これは台風が発生しているときに台風から少し離れた場所で線状降水帯が発生しやすくなるためです。九州などでは、まさにこれから線状降水帯の発生に特に注意が必要になってくるシーズンなのです。
◆「明け方」被害の多くが九州 原因まだ解明できず
梅雨時の集中豪雨で特に注意しないといけないのが、多くの人が寝込んでいる未明から明け方に多く発生していることです。 梅雨時以外はあまり時間帯に関係なく集中豪雨が発生していますが、梅雨の時は全国的にみても集中豪雨が発生する時間帯が未明から明け方に多くなっていて、特に午前7時~9時ごろに多く発生しているのです。そして、九州ではこの傾向が極端になっていて、明け方の大雨被害の多くが九州での発生です。 気象庁ではどうして九州で明け方に多いのか、原因はまだ解明できていないといいます。 夜中にぐっすり寝込んでいる中で集中豪雨が発生すると命を落とす危険がさらに大きくなるので、いかに備えるかが重要なポイントとなります。気象情報で「今夜は大雨に注意が必要」という情報が流れているときには、水があふれても浸水しない2階などの高いところや、土砂災害を起こしそうなガケから離れた高い安全な場所で寝る、気象情報を夜中も時々起きてチェックするなどの自衛策が重要になります。 特に九州ではより強く警戒する必要があるといえます。