世界最速の「ソファー」 チャージャー/チャレンジャー アメリカ文化のアイコン ダッジのマッスルカー2台を比較(2)
アメリカ文化のアイコン 世界最速のソファー
ダッジ・チャージャー・ヘルキャットは、アメリカ文化のアイコンにもなった。最近のブラック・ミュージックでは、クルマが歌詞に登場することが多いが、キャデラック・エスカレード以上に歌われているのではないだろうか。 【写真】ハンドルで操る「悪役プロレスラー」 ダッジ・チャージャー/チャレンジャー フォード・マスタングとシボレー・カマロも (102枚) パワフルな後輪駆動だから、スモーク一杯のバーンアウトは朝飯前。市街地の直線道路を占拠して、危険なドラッグレースが興じられることも少なくない。アウトローなイメージも強いが、あこがれの対象でもある。 大陸を横断するアメリカン・ロードトリップの相棒としても、最適だろう。筆者は以前に、2ドアのダッジ・チャレンジャー・ヘルキャットでカナディアン・ロッキー山脈を越え、アメリカ北部のモンタナ州を目指す旅をしたことがある。 数日間で3200kmを走ったが、世界最速のソファーに座って、移動しているような体験だった。ガソリンスタンドに立ち寄れば、見知らぬ人が集まってきて、小さい頃のモーパーの思い出話を聞かせてくれた。 アメリカ人は、ヘルキャットを運転している自分を、簡単にイメージできるらしい。ランボルギーニ・ウラカンは、宝くじに当たらないと縁がない。 チャレンジャーほどの象徴性はないとしても、チャージャーは最後に生き残ったビッグ・ダッジとして、未来が保証されている。かつて、チャレンジャーの兄弟モデルとして4ドアサルーンが登場した時は、モーパー・ファンから反感を買ったそうだが。
本物のフルサイズなアメリカン・サルーン
7代目チャージャーは、本物のフルサイズなアメリカン・サルーンを体感できる、希少な1台として機能してきた。見た目の割に車内は広くないが、後輪駆動のシャシーをベースに、多様なパワートレインが設定された。 選択肢の幅は、他に例がないほど。アメリカの一般的なレンタカー店で、平均的なモデルを希望すれば、小さなアルミホイールを履いたV6エンジン版チャージャーが貸し出されるだろう。 チャージャー・ヘルキャットをディーラーで指定すれば、8速ATにスーパーチャージャー、最高速度326km/hのスーパーサルーンが届けられた。ゆったりとしたリアシートと、広々としたトランクは変わらない。 今回お借りしたチャージャーは、7代目の最後にリリースされた、スキャットパック 392スーパービー。チャレンジャー・スキャットパック・スインガーと同じ、自然吸気の6.4L V8エンジンを搭載している。 マッシブなワイドボディ・キットと、ドラッグレース・マシンのようなボンネットピンで武装。控えめなグラフィックも施されている。フロントフェンダーにあしらわれた、怒った顔のハチのイラストがカワイイ。 ステアリングホイールを握ってみると、チャレンジャーより古い印象が漂う。しかし、シャシーの鮮明さは向上している。エンジンへ多くの予算が投じられていることも伝わってくるから、充足感はこちらも高い。