「安心してインフレや円安に備えることができます」…投資初心者に〈新NISA〉をおすすめできる、これだけの理由【税理士が解説】
新NISAをおすすめできる3つの理由
【理由(1)】長期的に見れば株価は上がり続けているから NISAは株価が下がると逆に損をしますし、株価は上がったり下がったりするものなので不安を覚える方も多いのですが、長期的に見れば株価は右肩上がりに上昇を続けているため、長期保有すれば株価が下がって損をするリスクは低いです。 米国株の株価指数であるS&P500や、全世界株の株価指数であるMSCI ACワールドインデックスのグラフを見てもらえれば一目瞭然です(図表2)。 日本の株価指数である日経平均は伸び悩んでいますが、世界経済は成長を続けていて、株価も上がり続けています。もちろんリーマンショックやコロナショックなどで一時的に暴落したことは何度もありますが、回復しなかったことはありません。 どのぐらい株価が上がっているのか、S&P500の値*を過去50年間さかのぼって独自に集計したところ、1年で株価が30%以上上昇している年もあれば、逆に30%以上下落している年もありました(*investing.comで抽出した2023年~1973年〔12/1時点〕のS&P500の値)。 しかし、上昇している年の方が多かった(4年中3年ぐらいの割合)ため、平均すると年8%程度上昇していました。 また、どのぐらい長期保有すれば損しないのかも、同じくS&P500の値を使って一緒に調べたところ、15年程度長期保有すれば、過去50年のどのタイミングで売買しても損はしないという結果になりました。ちなみに保有期間が10年だと1割弱、5年だと2割程度の確率で損をする年がありました。 これらはあくまでS&P500の過去の実績にすぎませんので、今後も株価が年平均8%も上がってくれる保証はありませんが、躊躇せずに早く始めて長く保有するほど、損するリスクを下げることができます。 【理由(2)】インフレや円安も続いているから 以前からインフレや円安で1円の価値は下がり続けてきましたが、近年は特に物価高騰や円安に歯止めがかからなくなってきています。 コツコツ貯めてきた貯金の価値が、インフレや円安によって下がっていくのは心苦しい限りですが、幸いNISAで買った外国の株や投資信託の価値は、インフレや円安の影響を受けて上昇してくれます。 株価が上がり続けているのも、企業が成長し続けているだけではなくて、単にインフレによって価格が上がっている部分も大きいです。 世界的に経済成長やインフレは続いていますし、日本のインフレ傾向もまだまだ続くでしょう。 また、残念ながら他国に比べると経済成長が鈍化している日本の円の価値は、相対的に下がってしまう可能性が高く、今後の円安傾向も続きそうです。 ちなみに貯金だけでなく、日本円でもらう年金もインフレによって価値が下がってしまうため、国がNISA制度を拡大してくれたのもうなずけます。 NISAを使って日本円ではなくドル建ての資産を持っておくことで、安心してインフレや円安に備えることができます。 【理由(3)】いざとなったら売却できるから 旧つみたてNISAとよく比較される制度としてiDeCo(個人型確定拠出年金)がありますが、iDeCoも投資信託などの運用益が非課税になる上、毎月の掛金が全額所得控除される*ため、老後資金の蓄えとしてはiDeCoの方が優秀かもしれません(*NISAの掛金は所得控除はしてもらえません)。 しかし、iDeCoはあくまで年金制度なので、原則60歳になるまで資金を引き出せないデメリットがあります。 一方でNISAは好きなタイミングで売却できるため、長期保有するつもりで使っていたとしても、急な資金が必要になったときはいつでも売却できますし、確定申告も必要ありません。 収入が安定している方はiDeCoの方を好まれるかもしれませんが、私たち経営者は収入のアップダウンが激しく、いつ急な資金が必要になるかわからないので、NISAの方が安心して使えます。 また、iDeCo以外の年金制度や生命保険などを使って老後資金を蓄えている人も多いと思いますが、これらも好きなタイミングで現金化できないものが多いので、私は自由度が高いNISAに優先的に資金を回しています。