久保建英は「短剣」…バルサ番記者絶賛 レアル移籍から紆余曲折の“理想郷”【現地発コラム】
バルサ番記者も指摘「ベストと言える場所」
試合後に話を聞いたバルセロナの番記者も久保を高く評価。スペインのラジオ局「カデナ・セル」でこの試合を実況したリュイス・フラケル氏は次のような感想を持っていた。 「久保は今日、本当に素晴らしい試合をしたと思う。スペイン内外で結果を出している強豪相手にゴールこそ決められなかったが、彼のハードワークや作り出した数々のチャンス、無尽蔵のスタミナに支えられてプレッシャーをかけ続けたことにより、ラ・レアルの大きな武器となり、バルサを大いに苦しめた。実際、私たちも中継で久保をMVPに挙げたんだ。彼は今日、文句なくラ・レアルで最高の選手だった」 またフラケル氏は久保がバルセロナ戦で活躍できた要因として、ソシエダ加入が鍵になったことを強調した。 「久保は輝きを放つための理想的な環境を、レアル・ソシエダでようやく手に入れることができた。レアル・マドリード移籍は彼が期待したようなものにはならず、ラ・レアルに辿り着くまでにいくつものチームを転々とせざるを得なかった。そうした苦労や努力の甲斐あって、彼はここで今、私たちみんなが“久保ならそうなれる”と感じている姿になれることを示しているし、そうなるために必要な、ベストと言える場所を見つけることができたと思う」 ここに来て昨季前半戦のようなトップフォームを取り戻しつつある久保はバルセロナ戦後に、「今年を良い形で締めくくりたい」と語っていた。その願いを叶えるためには、チーム一の長距離移動を余儀なくされる年内最後の代表戦で、フィジカル面に大きな問題を抱えることなく戻ってくることが必須となるだろう。 チームはこの後、代表ウィークを経て、21日にスペイン東部の洪水被害により延期された国王杯1回戦ホベ・エスパニョール戦、24日にラ・リーガ第14節アスレティック戦、そして28日にUEFAヨーロッパリーグ(EL)リーグフェーズ第5節アヤックス戦と、短期間で負けられない試合が続く。特にバスクダービーと欧州の古豪相手に久保の力は必要となるため、万全の状態でチームに復帰できるかどうかが鍵となる。 [著者プロフィール] 高橋智行(たかはし・ともゆき)/茨城県出身。大学卒業後、映像関連の仕事を経て2006年にスペインへ渡り、サッカーに関する記事執筆や翻訳、スポーツ紙通信員など、スペインリーグを中心としたメディアの仕事に携わっている。
高橋智行 / Tomoyuki Takahashi