被害者家族「当然の結果」 知床事故、法廷での対峙望む声
自然豊かな北海道・知床半島沖で観光船が沈没し、乗客ら26人が死亡・行方不明になった事故から間もなく2年半。船の運航会社社長桂田精一被告(61)の責任が刑事裁判で問われることとなった。「長かった」「当然の結果だ」。被害者家族らは9日、釧路地検による起訴を各地で受け止め、法廷で対峙し、被告に直接胸の内を伝えたいと語る人もいた。 「潔く自身の責任を認めてほしい」。事故で亡くなった千葉県松戸市のヌデ島優さん=当時(34)=の両親は弁護士を通じてコメントを発表した。「(桂田被告の)安全に対する認識の低さや、ずさんな安全管理が重大な事件を引き起こしたことを裁判所や社会に伝えることが私たちの責務だ」と強調。事件を風化させてはいけないという思いから今後の刑事裁判を注視していくとした。 福岡県久留米市出身で、行方不明となった小柳宝大さん=当時(34)=の父親(65)は「やっと少しほっとした」。被害者参加制度を使い公判で意見陳述する方針で「社長の考えは甘い。人の命をなんだと思っているのか」と明かした。