「利益はない 使命感だけ」訪問介護事業の持続に多くの課題 基本報酬の2%引き下げが追い打ち【現場から、】
静岡放送
自宅で過ごしたい高齢者の頼みの綱、訪問介護の存続が危ぶまれています。訪問介護事業所の倒産件数は2024年過去最高になり、利用者にとっては介護保険が使えなくなる心配もあります。 【写真を見る】「利益はない 使命感だけ」訪問介護事業の持続に多くの課題 基本報酬の2%引き下げが追い打ち【現場から、】 神奈川県真鶴町に住む磯崎光男さんです。透析のため、週3回介護タクシーを使って静岡県熱海市の病院に通っています。介護タクシーは自力で外出するのが困難な人を病院や買い物に連れていく訪問介護サービスの1つです。磯崎さんはこのサービスを利用し、自宅で過ごすことができています。 <磯崎光男さん> 「やっぱり、うちにいたほうがいいなと思っています」 <妻・磯崎菊恵さん> Q.介護保険が使えるのは大きいですか? 「大きいですよ。1割(負担)だから。足がこの状態だからね。全額だと大変。1万円で済んでいるところが10万円払わなければいけない」 磯崎さんが利用している介護タクシー「伊豆おはな」です。2024年10月に職員が退職し、一時、訪問介護事業所の休止が心配されました。休止すると、利用者の1割負担が全額負担になってしまいます。 訪問介護事業所を営むには、介護福祉士や看護師などが常勤換算で2.5人以上という人員配置基準が定められています。「伊豆おはな」では辞めた職員の代わりに非常勤の看護師2人を雇い基準を満たしました。 <伊豆おはな 河瀬豊さん> 「今、非常勤で2人来てもらってなんとか維持できているが、よっぽど大きいところ以外は、人員基準の問題は常に悩まされているところじゃないかなと思います。利益はないですよね。本当に。なんとか続けているというところで。使命感だけですよね。はっきり言って」 熱海市では2024年、65歳以上の高齢者が5割を超えました。訪問介護事業所のヘルパーも高齢化しています。 <熱海市長寿介護課 高橋佳孝介護保険室長> 「各事業所は、高齢化が進んだ中でこれから退職が見込まれるというなかで募集をかけている状況ですが申し込みがない。問い合わせもない」