皇后杯でチーム史上初の8強となった東京羽田…本橋菜子はデンソーに敗退も「これからにつながる大事な試合」
「第91回皇后杯 全日本バスケットボール選手権大会」においてチーム史上初のファイナルラウンド進出を決めた東京羽田ヴィッキーズ。Wリーグは今シーズンよりプレミアリーグ(昨シーズン1位~8位)とフューチャーリーグ(同9位~14位)との2部制で行われているが、フューチャーに属するチームでは東京羽田(昨シーズン10位)が唯一の皇后杯8強入りとなった。 2次ラウンド(4回戦)でプレミアリーグに属する日立ハイテククーガーズ(昨シーズン7位)との接戦を制してのファイナルラウンド進出となった東京羽田は、そのファイナルラウンドの準々決勝では昨シーズンのWリーグ準優勝、皇后杯では前回覇者のデンソーアイリスと対戦。序盤はポイントガードの本橋菜子のゲームメークから穴澤冴、千葉歩らで得点したが、高さを生かしたシュートや高確率のアウトサイドシュートを沈めていったデンソーに第1クォーターで11ー34と大きくリードされてしまう。25点ビハインドで迎えた後半も状況は変わらず。この試合3ポイントシュートの確率が44パーセントというデンソーの前に51ー89で敗れた。 試合を振り返り、「主力選手がコンディション不良で欠いたのは残念ではありましたが、出場した選手たちで今やってることはしっかり取り組めたと思います」と萩原美樹子ヘッドコーチは言う。また、本橋も「(デンソーの)シュート力の高さやプレーの精度の高さ、リバウンドのところで取り切れない、パワーの違いなど、私たちがこれからプレミアリーグに上がって戦っていく上でやっていかないといけないことだと思います。やり合えるぐらいのレベルまで上がらないといけないというのを今日の試合でしっかり体感できたので、これからにつながる大事な試合になりました。このレベルの高さを次につなげていきたいです」と、語った。 2人の言葉からも感じるように、点差こそついたものの、試合では大きな収穫もあった東京羽田。実際、プレー中の選手たちの表情に迷いはなく、東京羽田のスタイルを貫く意思が感じられた。そのことを本橋に問うと、「そうですね。全くうまくいかなかったかといったらそうではなくて、うまくいっていた部分もあったと思うので、あとは本当にシュート精度など細かいところの違いだと感じています」と、言う。 フューチャーリーグは、優勝チームは自動でプレミアリーグに昇格、2位のチームはプレミアリーグの7位と入替戦を行うこととなる。もちろん、東京羽田が目指すのは優勝。12月8日時点で東京羽田と三菱電機コアラーズが13勝3敗で先を行く。「みんなで共通認識を持ってやれている感覚はあって、誰が出てもそれを理解して遂行できる。そういったときは本当にいいバスケットができているし、良い展開に運べていると思うので、今シーズンはそれがすごく大きいと思います」と、本橋はチームの現状を笑顔で語った。 「今、(選手が)14人いますが、全員で戦おう、フューチャーで優勝したいという思いで一つになっていると感じます。ケガ人も出て苦しい状況ではあるのですが、そこはブレずに向かっていけていると思います」と、それまでもチームの雰囲気は良かったが、これまでと今シーズンとの違いについて本橋はこう説明してくれた。 その中で本橋は、「今シーズンはコート内外での雰囲気作りなど意識的にまとめようというのをオリンピックが終わってより強く思っています。そこでいい影響を与えられていればとは思いますね」と、これまでの取り組みを語る。そこには、「個人的にオリンピックでの悔しい思いがあって、あの経験をなかったことにはしたくないし、みんなにもそういう思いをしてほしくないから、本当にやれるだけのことは全部やろうという気持ちでいます」という思いがあるから。 「苦しいときに頑張れるようなパフォーマンスができればいいなと思います。まずはチームが勝つことが一番なので、その時々に応じて自分が必要な行動だったりとか、プレーだったり、声かけなどをしていきたいです」 日本代表などの経験をチームに還元する本橋。今シーズンもコート内外問わず、チームにとってその存在は大きい。 取材・文=田島早苗
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