「トランプ・トレード」が急上昇──ビットコインが対メキシコペソで10%近く上昇、金は横ばい
大統領選の共和党候補ドナルド・トランプ(Donald Trump)氏が民主党候補カマラ・ハリス(Kamala Harris)氏に対して大きくリードを広げる中、ビットコイン(BTC)やドルインデックス、米国債利回りの上昇に賭ける、あるいはメキシコペソの下落に賭ける「トランプ・トレード」が全面的に展開されている。 ビットコインは6日のアジア取引時間中に7%以上上昇し、7万4000ドル(約1110万円、1ドル150円換算)を超える史上最高値を記録した。 ビットコインは対メキシコペソでの上昇幅が大きかった。メキシコペソはトランプ氏の関税計画で最も大きな打撃を受けると予想されており、対ドルで3%下落し、2022年8月以来で最安となる20.7080ペソに達した。トレーディングビュー(TradingView)のデータによると、本記事執筆時点で暗号資産(仮想通貨)取引所バイナンス(Binance)におけるビットコイン/メキシコペソ(BTC/MXN)ペアは約10%高の154万8000ペソで取引されている。 メキシコペソは3月以降27%下落しており、その大部分はトランプ政権が保護主義政策を採用する可能性に対する懸念に起因している。トランプ氏は今週、昨年アメリカの主要貿易相手国の一つであったメキシコからの輸入品に25%の関税を課す意向を改めて表明し、同国が国境を閉鎖しない場合は100%まで引き上げると警告した。 ワシントン・ポスト紙によると、トランプ氏は「犯罪者や薬物が我が国に流入するのを止めないなら、アメリカに送られてくるすべてのものに対して直ちに25%の関税を課すつもりだ」と表明。さらに、「効果がなければ50%に、それでも効果がなければ75%にする」とし、「最終的には100%にする」と述べた。 トランプ氏はまた、2026年7月1日に見直しが予定されているアメリカ・メキシコ・カナダ協定(USMCA)の再交渉を公約にしている。本記事執筆時点で、AP通信はトランプ氏が選挙人獲得数でカマラ・ハリス氏に対して230対210でリードしていると報じている。 ブルッキングス研究所(Brookings Institution)のシニアフェローであるロビン・ブルックス(Robin Brooks)氏はX(旧Twitter)で、「メキシコペソは、今夜最終的に何が起こるかわからない段階で既に大幅に弱くなっている。トランプ氏が勝利した場合、非常に大きな動きが見られる可能性があることを示唆している」と指摘した。