古くから伝わる「お医者さんはボルボが好き」説 “そりゃそうでしょう”な理由とは? 実は世界中で!?
ボルボ=「お医者さん」イメージ 日本でもいきなり!?
戦前から質実剛健な開発で知られ、合理的かつ頑丈なイメージを持つスウェーデンの自動車メーカー・ボルボ。古くから「世界一安全なファミリーカー」という評価を受け、高品質なモデルばかりをリリースしてきたブランドです。 【ひどい事故…】ぐちゃぐちゃになった車を調べる「ボルボの中の人」(写真) 日本でも信頼性が高いですが、ボルボを指し、特に年配世代の方からよく言われるのが「ボルボって、お医者さんが乗るクルマだよね」「だから信頼できるよね」といったもの。 ただ、日本においてボルボの本格的な輸入が始まり、一般に広まり始めたのは1974年以降のことです。ちょうど今から50年前ですが、どうして情報が今ほどにない時代に「お医者さんが乗るクルマ」というイメージを植え付けることができたのでしょうか。その背景には、ボルボが世界中で進めてきた販売戦略があるのです。 古くからボルボでは北欧、ヨーロッパ、アメリカなどで販売する際、主に医師・軍人・警察といった公共性のある職種の組合と提携し、組合員限定の割引制度を採用してきました。 特に「医師組合での割引」はその筆頭で、日本で輸入販売が始まった1974年にもその販売手法が持ち込まれました。 それまでの日本の輸入車では、あまり見かけない販売手法でしたが、これをすんなり始めたのが、日本におけるボルボの総代理店として新設された会社「帝人ボルボ」でした。 母体の帝人はもともと医療用医薬品、ケミカル繊維などを扱う総合化学メーカーであり、「お医者さん」との親和性が高い会社です。そのため、世界中で展開していたボルボの「医師組合の限定割引」の販売手法を、日本でもそのまま始められたように感じます。 また、全くの余談ですが、「ウチのお父ちゃんはね」という甲高い声で人気を博した帝人の社長夫人・大屋政子さんも、亡くなるまでボルボを愛用していました。経営トップの近親者ですから割引もヘッタクレもないでしょうが、当時の富裕層の間でも「乗っていて恥ずかしくない」クルマだったことを示しているように感じます。