【毎日書評】身近な疑問から分析力を身につける方法~客のいない古びた駅前の店がつぶれないわけは?
『なぜコンビニでお金をおろさない人はお金持ちになれないのか?』(平野 薫 著、ダイヤモンド社)の著者は、経営コンサルタントという仕事柄、ちょっとした変化に気づくほうだという自覚を持っているそうです。 大切にしているのは、自分のなかで起きる「違和感」なのだとか。 つまり、「なぜ、これはこうなのか?」「以前はこうではなかったのではないだろうか?」と感じるような“なにか”があった場合、自分の直感を信じてそこにフォーカスすることを意識しているということです。 例えば、「最近唐揚げのお店が増えてきたな、どういうニーズがあってどれくらい増えているのだろう?」とか、「自動車学校が閉鎖しているけど、免許を取得する人は減っているのだろうか? 免許制度が変更になった影響は自動車学校の経営にどう影響しているのだろうか?」とか、「最近ペットボトルコーヒーが増えているけど、なぜ元々ペットボトルコーヒーは無かったのだろうか?」など、いろんなことが気になってしまいます。(「まえがき」より) たしかにそうやって考えてみると、気になることはいくらでも見つけられそうです。いずれにしても、当たり前だと思って気にもかけないことについて、あえて疑問を持ってみることが重要なのでしょう。そしてもうひとつ、気になったことは、いったん自分なりに仮説を立てることも忘れるべきでないようです。 「普通のラーメンは大盛りにすると追加でお金を取られるのに、つけ麺の場合はなぜ大盛りが無料なのだろう?」というように、物事の因果関係を考えるということ。その結果、論理的な思考力も鍛えられるわけです。 ① 世の中の事象に違和感を持つ→②違和感にフォーカスする→③自分なりに仮説を立てる→④数字で根拠を分析し検証する→⑤人に話したりブログに書いてアウトプットする、という一連のルーティンを日々継続して行うことが数字に強くなるコツです。(「まえがき」より) つまり「違和感」で終わってしまうことをそのままにせず、関心を持ってフォーカスすること、すなわち“違和感を放置せずにフォーカス”することが第一歩になるということ。 また著者は、「もし世の中の多くの方が数字に強くなれば、きっと会社の業績も改善し、コミュニケーションも遠結になり、もっと自信を持って生きていくことができるはず」だとも述べています。 そこで本書では、世の中の身近な疑問を数字で解き明かしながら、気づきの力と数字で考える習慣を身につけることの重要性を訴えているのです。 きょうは第1章「なぜ駅前の古びた靴屋さんはお客さんが来ないのに営業を続けられるのか」のなかから、なにかと気になる“お客さんの来ない店”の運営方法に注目してみることにしましょう。