吉沢悠さん(46)妻は常に味方でいてくれる存在「円満だからこそ、不倫役も全力で臨めます」|STORY
時代劇を通して“古き良き日本“を後世に伝えていきたい
今後、役者として挑戦したいことは時代劇。昔は水戸黄門など時代劇のドラマも日常的に放送されていましたけど、今はそういった作品自体が少なくなってきていますよね。時代の流れとしては仕方ないのですが、日本独自の文化や美しい所作は、これからの世代の人たちにきちんと伝えていく必要がある。その時に、机の上で勉強として学ぶよりも、エンターテイメントとして触れられた方がきっと楽しいし伝わりやすいと思うんです。 日本にはこんな良さがあるんだとか、男性も女性も粋でカッコいいなとか…そういう大和魂みたいなものをダイレクトに感じられるのが時代劇の作品。せっかく俳優をやっているので、歴史的な題材は大事にしていきたいジャンルです。そのために殺陣も習っているので、いつ何時そういった作品のオファーがきたとしても準備万端ですね。 今一緒にお仕事をしている舞台のクリエイティブスタッフが海外の方で、葛飾北斎の描いた富士山の絵を「なんて素晴らしい作品なんだ」と昔から感動していたらしくて。日本で初めて実際の富士山を見た時には、心が震えたと興奮しながら話してくれました。僕はあまり詳しくなかったので、「そんなに人気なの?」と聞いたら「何言ってるの!すごく有名だし人気だよ!」と怒られました(笑)。 日本人が思っている以上に、海外の人の方が日本の価値に気づいて良さを認識してくれていることもあるんですよね。そんな日本の良さを、もっと多くの人たちに伝えていかないともったいない。海外はもちろんですが、これからの世代に「古き良き日本の文化を継承していく」ことは俳優としての役割の1つだと思うから、しっかり担っていきたいです。
オーディションで主演に抜擢された、舞台「ハリー・ポッターと呪いの子」
年齢を言い訳にせず挑戦することをモットーにしているのですが、僕は46歳にしてオーディションを受けていますからね。実は今出演中の舞台「ハリー・ポッターと呪いの子」の主演も、オーディションで決まったんです。今回の舞台の出演者は、漏れなく全員オーディションで受かった人たち。僕たちが20代の頃は、あまりオーディションの機会は無かったのですが、今海外から入ってくる映画や舞台などの作品では、当たり前のように行われているんです。大御所のベテラン俳優さんでも、受けている方は大勢いらっしゃいます。 僕自身も長年役者としての経験を積んできたとはいえ「この年齢でオーディションなんて大丈夫だろうか…」と不安になることも。海外から来日したクリエイティブスタッフの錚々たるメンバーにジャッジされるわけですから、緊張感も恐怖心もやっぱりあります。でも僕は、普段から“マイナス20歳”の心持ちでいるので(笑)、「せっかく受けたのに…」とは思いません。海外の違う作品では何度もオーディションに落ちていますが、この役には合わなかったと、すぐ切り替えられるメンタルを整えていますね。 最近、プライベートでイギリスを訪れたんです。ハリー・ポッターの本場の舞台を観劇するのが一番の目的。その話をしたら、関係者の人がイギリスのハリー役の役者さんやその家族に会う時間をつくりますよと言ってくれて。パレスシアターというロンドンの劇場で、本来は入れない実際の舞台上に立たせてもらい、お話を聞く機会をいただきました。それはもう心震える経験で、ますます刺激を受けて、日本で演じることへのモチベーションがさらに高まりました。現状に甘んじることなく、年齢や実績にも関係なく、挑戦したからこそ立てることになった舞台「ハリー・ポッターと呪いの子」。映像の世界とはまた違って長期戦ですが、まずはこの役に真摯に向き合って演じきりたい。心は常に「マイナス20歳」で(笑)、俳優・吉沢悠として、今後も軽やかに挑戦し続けていきたいと思っています。