作家・西加奈子 両乳房を切除に迷いなかった 【菅谷大介、がんを知る】シリーズ 第2回
2022年にすい臓がんを公表した、日本テレビの菅谷大介アナウンサー(51)が、がんを経験した様々な人と対談し、本音で語り合う『菅谷大介、がんを知る』。第2回の対談相手は、2021年に滞在先のカナダで乳がんと診断された作家の西加奈子さんです。 【動画】西加奈子、菅谷大介アナ対談
西さんは、乳がんの判明から寛解までの約8か月間を1冊の本にまとめました。自身初の完全ノンフィクション『くもをさがす』に込められたメッセージを菅谷アナが取材しました。
西さんは2004年作家デビュー。2015年には『サラバ!』で第125回直木三十五賞を受賞するなど数多くの賞に輝いています。時には“ジェンダー”や“貧困”といった題材で社会問題とも向き合ってきました。そんな西さんの最新作が自身初の完全ノンフィクション『くもをさがす』。発売6日間で20万部を突破している話題作です。
■「楽しかった」カナダでのがん治療生活
菅谷:「本にしよう」と思ったのは、なにかあったんですか? 西:これは今までにない類いの正直さだと思ったし、とにかく本にするって読んで欲しい、誰かに読んで欲しいっていう思いが強くなってっていうのが最初で、あとは本当に正直に言うとこんな経験してんから金にしたい(笑) 菅谷:カナダでの治療って大変だなって 西:楽しかったです、でも 菅谷:えぇ!? 西:もちろん大変なこともあったんですけど、看護師さんたちが特に先生もそうでしたけど、明るかったです。 菅谷:書かれている言葉も関西弁だったりするので、すごくフランクな感じに。 西:そう聞こえたんです。
実際の著書には、看護師の話す英語が“関西弁”で訳されていて「もちろん、決めるのはカナコやで」「カナコのがんはトリプルネガティブなんや、オッケー! 早よ治そう!」など軽快なやりとりを表現しています。
西:抗がん剤で髪も抜けますし、私もウィッグとかかぶらずにいっていたんですけど、やせちゃうじゃないですか。そういう状態で行っても「ハイ加奈子めっちゃいいやんその服」「どこで買ったん?」みたいなそういう感じでした。患者としてはもちろん扱ってくれるんです。プロフェッショナルなので彼女たちは、でも一度も「かわいそうな患者」とは扱われたことはなかったんですね、それは本当に救われました。 菅谷:僕も看護師さんからやっぱり、励まされる部分っていうのはやっぱりあったりとか、こそこそっと「(テレビで)見てますよ」とか言われたりして、日常に戻るというか 西:看護師さんたちにとったら日常ですもんね。 菅谷:そうですよね。そういうのに助けられる部分ってありますよね。 西:めちゃくちゃ助けられました、私は。