岐阜「ペッパー」を教材に使う学校 その導入理由とは?
「人とロボットとの共生社会」考えるユニーク授業
「人工知能がプロ棋士に勝利」「人口知能が作った作品に著作権」など、ロボット技術の急速な進化を感じるニュースが多い今日この頃。そんな話題を耳にしては、脅威を感じている人も少なくないのでは? 岐阜県大垣市の学校法人では、ソフトバンクのパーソナルロボット「ペッパー」を教材として導入。ペッパーの服を作ることを通して「人とロボットとの共生社会」を考えるユニークな授業を展開している。
生徒に「癒し」などテーマ与え1年通して仕上げ?
2014年に発表、2015年より一般販売された、ソフトバンクが提供する感情認識ロボット「ペッパー」。販売のたび受付わずか1分で売り切れる人気のロボットだ。 昨夏より法人向け販売もスタートし、販売店での接客やサービス案内などに使うケースも見られるようになった。そんな中、導入したペッパーを教材として活用しているのが岐阜県大垣市にある学校法人平野学園だ。 平野学園は、清凌高等学校と大垣文化総合専門学校を併設。戦時中の1944年に服飾塾として創立した歴史があり、現在も高校の生活デザインコース、専門学校の洋裁科で、ファッションを学ぶカリキュラムが組まれている。 同学園では2015年12月にペッパーを導入し、専門学校の洋裁科を中心にロボット用の服を作る授業を展開。生徒に「癒し」「日本の伝統」「環境」などテーマを与え、一年間を通して型紙作成から縫製まで仕上げていくカリキュラムとなっている。
ストレッチ性や軽量性に独特のコツあり
4月中旬、専門学校1年生に向けて、ペッパーの服を作る「デザイン学」最初の授業が行われた。まずは採寸、原型を作ることからスタート。教壇の横でペッパーが見守るなか、生徒にプリント用紙が配られた。 そこにはペッパーのイラストが描かれており、どこを採寸するかがまとめてある。生徒はグループに分かれ、どんな服に仕上げたいか話し合いながらデッサンを描いていった。 ペッパーの服を作るにあたって、いくつかのコツがあるようだ。まずは、スナップなどを使い着脱しやすくすること、次に動きを妨げないようストレッチ性と軽量性を考えること、そしてセンサー部分を隠さないこと。“だったらロボット専用のユニフォームを作ればいいのでは”とも思うかもしれないが、あくまでもロボットを「人」としてとらえ、着る側の立場に立って服を考えることに重きを置いている。 それは生徒が、服の基本機能である、「守る」「隠す」「飾る」について再認識できるという利点と、もう一つ、学園が考える壮大な構想が理由となっていた。