広島・森浦のチェンジアップが“魔球”であるワケ NPB史上19人目3者連続3球三振達成
広島の森浦大輔投手(25)が、1日のソフトバンク戦で、NPB史上19人目の3者連続3球三振でイニングを完結させる通称イマキュレートイニングを達成した。歴史に名を刻んだ左腕の武器はチェンジアップだ。今季奪った三振の半分以上が同球種が決め球。被打率・160を誇る“魔球”のすごみについて迫った。 3年目の昨季は、初めて50試合登板を切るなど、13試合の登板で防御率6・17と苦しんだ1年になった。そこから今季は11日の試合前時点で19試合に登板し、失点したのはわずか3試合で、防御率2・50と見事復活。「ゾーン内で勝負出来るようになったのが一つの要因」と本人は分析する。 左腕の武器になっているのがチェンジアップだ。5月19日・巨人戦(マツダ)。6点リードの六回無死一、二塁でマウンドに上がると、坂本、萩尾、山瀬を3者連続三振。決め球は全てチェンジアップだった。今季ここまで同球種被打率は・160を誇っている。 森浦がチェンジアップと出合ったのは、天理大時。「カーブ、スライダー以外の変化球が欲しいと思って」と習得に乗り出した。投げる方のイメージは「ストレートと同じように腕を振って、最後に腕を外側にひねる感じ」。投げ始めた当時から握り方や、腕の振り方などは何も変わっていないという。 では森浦のチェンジアップはどうすごいのか。天理大の先輩でもある捕手の石原は「落差と腕の振り」だと言う。「チェンジアップは奥行きで、空振りを奪う球種だが、森浦のチェンジアップは、しっかり落ちている。腕の振りも直球と変わらないので、投げ始めた瞬間は本当に区別がつかない。狙っても打てない」と話す。 左腕と同様にチェンジアップを武器とし、ブルペンを支える島内は「球の回転と軌道」にすごみがあると明かす。「回転が打者から見て、直球と変わらないので見分けがつかない。軌道も膨らまずに、直球のリリースからそのままブレーキがかかっているような感じなので、厄介なのかなと思う」と分析した。 また、昨季からの変化も感じ取っており「リリーフなので状態の良いボールから選択していく中で、(森浦)大輔の場合、今年は真っすぐもカーブも腕振った中で投げられている。全ての球種を満遍なく、選択できている」と好調の要因を考察した。 同僚も絶賛する魔球・チェンジアップ。ブルペンにとって欠かせない存在になるべく、フル回転を続けていく(デイリースポーツ・高橋涼太朗)