開園100周年迎えた井の頭恩賜公園、絶滅危惧種の水草などが復活
これまでの成果について、東京都西部公園緑地事務所工事課の内山香・課長代理(48)は、「地域の方々の後押しもあってのことであり、行政だけでは成し得なかった」と地域が一丸となった取り組みを評価する一方、「良い状態をいかに継続させていくか、引き続き考える必要がある」と気を引き締める。 水質改善や外来魚駆除に効果的なかいぼりも万能ではなく、イノカシラフラスコモなど水草を食害する外来種のアメリカザリガニについては、完全に獲りきるのが困難だという。彼らは、かいぼりで水が抜かれても、泥に潜ってしまうためだ。
現在、都や市民団体らはワナを170個仕掛けて駆除に取り組む。全国的にもアメリカザリガニの根絶方法が課題となっており、都では他の自治体と情報交換しつつ、よりよい方法を模索するとしている。 アメリカザリガニ問題も含めて、3回のかいぼりが終わった後も、井の頭池の環境改善の取り組みは続く。水質が改善したとはいえ、以前のように豊富な湧水が回復したわけではない。池には、生活排水こそ流れ込んでいないが、周辺の木々や草からは落ち葉や枯れ草などが入ってくるので、維持管理を怠れば水質は再び悪化するだろう。 「かいぼりにゴールはない。定期的にやらなければ良い状態を維持できない」として、田中代表は、池の状態を見ながら必要に応じてかいぼりを続けるべきだとの考えを示す。 内山課長代理は、多様な生き物が生息できる護岸のあり方や、湿地空間の設置、湧き水を増やす方法の模索などを今後の検討課題と指摘。「目指すのは、湧き水が豊富にあったかつての池の状態。ここまで良くなったのだから、あながち夢ではない」と話した。 (取材・文:具志堅浩二)