世界の飢餓人口が7億3300万人に、3年連続で高止まり
記事のポイント①WFPなどは年次報告書で、世界で7億3300万人が飢餓に直面したと報告した②アフリカでは5人に1人の割合にのぼり、西アジアやカリブなどでも増加傾向に③改善なければSDGs最終年の2030年でも2015年の水準にとどまると警告する
WFP(国連世界食糧計画)はこのほどまとめた年次報告書で、2023年に世界で飢餓に直面した人は7億3300万人にのぼったと報告した。アフリカでは飢餓に直面したのは5人に1人の割合にのぼり悪化したほか、西アジアやカリブ海諸国でも増加した。報告書では、改善がなければSDGs最終年の2030年でも2015年の水準にとどまると警告する。(オルタナ編集部・萩原 哲郎)
年次報告書はブラジルで開催されたG20「飢餓と貧困に対するグローバル・アライアンス」の閣僚級会合に合わせて発表した。7億3300万人は中間値で、最大では7億5700万人。この数字は世界で11人に1人、アフリカでは5人に1人に相当する。世界の報告書によれば、世界の栄養不足のレベルは08年から09年の水準で15年後退したとする。 世界の飢餓人口は悪化が続く。19年の6億1300万人だったのに対し、20年と21年は8億人超、22年は7億3千万人と減少したが23年は再び増加に転じた。その背景には食料価格高騰や、依然として世界各地で継続する紛争や気候変動などが挙がる。 地域ごとの差も現れた。アフリカ、西アジア、カリブ海諸国は増加傾向となったが、ラテンアメリカでは改善した。アジアは横ばいだったものの、世界で飢餓に直面する人の半数以上が居住し「依然として課題」だと指摘する。 飢餓以外の目標達成も危ぶまれる。低出生体重児の割合は15%前後と停滞する。成人の肥満も増加しており、栄養不足の二重負担(栄養不足と過体重・肥満の共存)も全ての年齢増で急増しているという。 報告書の序文では、資金調達の不足分を推計し、それを埋めるための革新的な資金調達方法を取り入れることを最優先事項のひとつとして掲げた。今回分析対象となった119の低中所得国のうち、約63%が資金へのアクセスが限られている、あるいはある程度の資金しか調達できない状況にあった。 2030年を目標年としたSDGsでは、その2番目の目標に「飢餓をゼロに」と掲げる。残り6年となるなかで、達成が危ぶまれる。