プロに学ぶ旧車メンテナンス!【2】高度な合わせワザも! 耐熱シリコーン&ブレーキグリース編
旧車はデリケート。現代のクルマよりもずっと繊細だ。ここで紹介するのはプロ直伝の、旧車に効く「メンテナンス」、役立つ「トラブルシューティング」。 貴重な旧車を、大切に、長く乗りつづけるためにも、ぜひ参考にしてほしい。 >> 【画像40枚】初級編から上級編、 お役立ちツールまで 【プロ直伝メンテナンス&トラブル解決術 vol.2】 「作業するときに、ちょっとひと手間かけてみて。それだけでパーツの持ちが変るよ、クルマの負担が減ってライフも延びるんやな。ああ、それとケミカルや工具は、確かなモノを使うこと、磨り減った工具は要注意! ドライバーなんかは大きいものからあてがうようにとかね」と中川さん。 勧めてくれたケミカルやツールは、プロ用とはいえ一般ユーザーでも手に入れやすいもので、プロ用ばかりでもない。1つあればいろんな用途に使え、使い方次第でいろいろなところに反映させていくのも面白い。では、「ちょっとひと手間、この効き目」がうたい文句の、旧車に効く中川流メンテワーク&トラブル予防術を見ていこう。 耐熱シリコーンブレーキグリース 高熱を帯びるブレーキ部位用として開発された耐熱性に富むグリース。ワコーズのSSGは従来のリチウム系シリコーンに比べ、使用温度範囲が-40~280℃と広い。上質なシリコーングリースとしてブレーキだけでなく多用途に使えて重宝する。 【初級】リンゲージ部の動きがよくなる! リンケージのメンテナンスにも最適。ジョイント部につけておくことで、動きがグンとスムーズなり、摩擦によるパーツの消耗も抑えることができる。一般的なグリスのようにベタベタせず、使い勝手がとてもいい。樹脂パーツのへの使用も可能だ。 【中級】Oリングを組み込む際に SSGの仕様用途として中川さんは、ホイルシリンダーのカップやキャリパーの組み付けはむろんそれ以外のゴム製Oリングを組み込む際に、必ず塗っている。密閉性もアップし、Oリングそのものの耐熱性や耐油性、耐候性が高まり劣化を抑える効果も望める。滑りが良くなり、装着の際にリングを傷めにくくなるのもメリット。ドライブシャフトやプロペラシャフトの差込側にもおすすめ! 【中級】オイルシールの圧入時に ベアリングやオイルシールの装着にも最適。抜群の滑り効果で、スムーズなセットアップをアシストとしてくれる。写真はオイルシールでの使用法。まず、内側に軽く塗る。 さらに、外側のはめあい部にもかなり薄く塗ることも。 注意! この部分はどれでもというわけでなく、密着性やオイルシールの入るところの状態により判断。ゆるいのにつけると外れやすくなるよ! スレッドコンパウンドとシリコーングリースの合わせワザ! スレッドコンパウンドと耐熱シリコーングリースは、共に熱に強く、用途の広いキャラクターだ。ここで紹介するのは、前者の固着やガジリ防止効果と後者の潤滑効果を同時に得る合わせワザ。かなり高度な活用テクニック。 【上級】レリーズシリンダーの動きがスムーズに! 特に混ぜることはなく、レリーズスリーブが動くたびに混ざっていく程度でよいそうだ。こうすると、グリスが固まりにくくなる。 クラッチレリーズ・スリーブの内側には、スレッドコンパウンドと耐熱シリコーングリースの機能が同時に生かせるポイント。まずは、シリンダー内側にスレッドを塗り、その上からシリコーングリースを塗る。 これは中川さんが教えてくれた秘技。スレッドコンパウンドを「ガスケットを仮止めするノリ」として活用する方法。エキマニ~マフラーなど下向きのガスケット装着時におすすめ、外すときも固着しなくなるようだ。 初出:ノスタルジックスピード 2020年 2月号 vol.23 (記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)
Nosweb 編集部
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