新型「ホンダ・フリード」vs.「トヨタ・シエンタ」 そのバトルの行方は?
再びトップを目指す「フリード」
8年ぶりにフルモデルチェンジした新型「フリード」の姿を、2024年6月の発売を前に先行公開したホンダ。その開発責任者である本田技研工業の安積 悟(あづみ さとる)さんに「トヨタの『シエンタ』をどれくらい意識していますか?」とずばり聞いてみた。 【写真】フルモデルチェンジしたホンダ・フリードの外装や内装、ラインナップを詳しく写真で見る(84枚) というのも、全長4.2~4.3mで3列シートをもつ、いわゆるコンパクトミニバンというジャンルでは、“シエンタvs.フリード”という一騎打ちの構図が長らく続いているからだ。ここ数年の販売台数の推移を見ても、この2台が、いかに激しいつばぜり合いを繰り広げているかがうかがえる。 たとえば、2019年度(同年4月から翌年3月、以下同様)の販売台数は、シエンタが約11万台(国内登録車販売ランキング3位、以下同様)だったのに対して、フリードは約8万4000台(7位)だった。しかし、コロナ禍のうえにシエンタがモデル末期にさしかかった2020年度は逆転して、フリードが約7万3000台(8位)、シエンタが約6万8000台(11位)。この構図は2021年度も大きくは変わらず、約7万4000台(8位)のフリードが、約5万台のシエンタ(14位)をおさえた。 続く2022年8月、トヨタはプラットフォームからすべてを刷新するシエンタのフルモデルチェンジを実施した。その効果が如実に出た2022年度は、約9万3000台(5位)のシエンタが約8万台(6位)のフリードを再逆転する。新しいシエンタは屈指の大ヒット商品となり、翌2023年度は販売台数を12万台以上まで伸ばして、国内登録車ランキングでも3位を獲得。対するフリードはモデル末期というハンディもあって、約7万5000台の10位。これまでにない大差をつけられた。 というわけで、新型フリードは再びの逆転を期しているはずである。実際、1.5リッターのハイブリッドシステムを「フィット」や「ヴェゼル」に続き「e:HEV」に切り替えたり、「エアー」と「クロスター」というデザインを明確に差別化した2系統のシリーズを用意したり……と、いくつかの新機軸を打ち出す。