【9番街レトロ・京極風斗】「SNSは全部嘘。」
神保町よしもと漫才劇場を拠点に活動している芸人「9番街レトロ」の京極風斗(きょうごく・かざと)さんは、極端なほどに“0か100か”で生きている。そんな京極さんは、3月いっぱいで個人のSNSアカウントを消すことを発表。SNSがもっと楽しい場所になることを願って、「ユーモア」のあるSNSとの向き合い方をご提案。いっそのことSNSは嘘だらけって思っておいたほうが気持ち的には楽になるかも? 【9番街レトロ・京極風斗】SNSでバズった投稿に対する世間の反応は?
9番街レトロ・京極風斗
連載【0か100かで生きてゆく #58】 ー SNSは全部嘘。 ー
Illustration: Kazato Kyogoku
謎の啓発
僕は一度、Xであいみょんぐらいバズったことがあります。
こちらの投稿です。 この投稿にSNSのくだらなさが凝縮されています。 投稿文をそのまま受け取ると、まるで僕が強い意志で準備体操を拒んでいるように見えるこの写真ですが、実際のところボーッとしているだけなんですよね。 鮮明に覚えているわけではありませんが間違いなくそうです。 僕はそういう子です。 それでも十分変ではあるのですが、文面にあるように「準備体操のアンチ」だった時期なんてのは僕の人生に1秒もないわけです。 で、これはあくまで僕の感覚ですが、客観的に見て、この投稿から「ガチで準備体操のアンチ」だとは思わなくないですか? ただのユーモアに見えますよね? 分かりませんが。 とにかく僕は、そんなことは分かった上で楽しんでいる方がほとんどだと思っています。 しかしある程度バズると湧いてくるのが「マジレス」です。 「めんどくせぇガキだな」「だせぇ」 これらは別にいいんです。感想なんで。 「準備体操の大切さは大人になったら分かる」 だの 「ある研究では準備体操に意味はないとされているから正しい」 だの 本当に「準備体操のアンチ」だと信じて喋ってくる人が一定数存在するのです。 100歩譲って僕がその当時、本当に準備体操のアンチだったとして、本文の「だった頃」に「今は違う」の意が含有されているじゃないですか。 そこを無視して啓発されても「?」なんですよ。 仮に指摘内容が合っていたとしても、こちらとしては真剣に取り合われても困るんですよ。 例えば映画の銃撃シーンを見て警察に電話する人がいたらバカにするじゃないですか。 SNSでの発言を真に受けるっていうのはそういうことだと思うんです。 そのままでは変なオカルトに足を掬われますよ。 極論を申し上げますが、SNSに関しては「全ての投稿が嘘」の認識で問題ないと思います。 ネット黎明期ならきっとそんなこともなかったんです。そもそも賢い人しか使えない時代ですから。 それでも玉石混淆なのがインターネットなわけで。 それが「誰にでも使える」ものになった今、完全に「石」の比率が上がっているわけです。 もちろん本当に「全ての投稿が嘘」なわけではないですが、最後の決め手は他のソースから得た方が確実という意味でも、認識自体は「全ての投稿が嘘」にしておいた方がいいと思うのです。 僕の投稿も言ってしまえば「嘘」なわけですが、その嘘で誰かを傷つけたわけでもなく、「ユーモア」で済む程度の嘘なので責められる筋合いはないはずです。 もっと適当に楽しんで頂けると幸いです。 まぁ、それでいうと「マジレス」というその人なりのユーモアの可能性もあるんですがね。