「国産漆の盛衰、転機は明治維新」 漆工芸品輸出奨励の一方、木を管理の藩は消滅 史談会で丹波漆理事長講演
■先人の努力に感謝し 4千本の植栽めざす
戦後は輸入漆に加え合成塗料、接着剤が出回るようになり、漆にとっては一層厳しい状況が続いたが、夜久野では丹波漆生産組合を立ち上げた故・衣川光治さん、組合を引き継いだNPO法人丹波漆で、漆の木の植栽活動に励んだ岡本嘉明・前理事長らの努力もあって、漆の文化が守られてきた。 近年は「日本の文化財の保護修繕のためには日本の漆を」と、国の国産漆保護政策もある。今夏にはNPOが国から「文化財を支える伝統の名匠」選定保存技術保存団体に認定された。高橋さんは「漆の木は育つのに10年から15年かかります。シカなどの獣害が深刻ですが、次の代につなぐため、4千本を目標に漆の木を増やしていきたい」と、抱負を語った。