17軒の“事故物件”に住んだ芸人が語る、本当に恐かった話「家賃500円の物件で、なぜか一家全員が…」
そして一家全員がおかしくなった
――家族は、あきらかにいわくつき物件と認識していたと思いますが、残った次女と次男は、どうなったのでしょうか? 松原:次女も酒を飲まないはずが、なぜか仕事帰りに缶チューハイを買って、一気飲みしたのです。それで具合が悪くなって、たまたま通りがかった50代の男性に介抱され、そのまま男性の家まで行ってしまうのですね。朝になって帰ってきたのですが、今度はその男性が、毎晩ストーカーをするのです。 次男も警戒していたのですが、ある日、次女は連れ去られてしまいます。次男は警察に通報するのですが、次女から連絡が来て、「私たち結婚することにしました」って、そのストーカーと一緒に暮らし始めるのですね。 その次男もおかしくなって、仕事に朝行って夜帰ってきたら、外を徘徊するようなるのです。さらに、もともと同居していなかった長女に、夜中に電話してきて「金貸してくれ」と言ってくるようになります。 そんなおり、転勤で遠くにいた長男が帰ってきて、「今すぐ引っ越しするぞ」と。転勤で離れている間に、まともになって、あの家がおかしいと気づいたのです。でも次男が、「いや、引っ越ししたくない」と言い張って、長男も1か月ぐらい滞在すると、またお酒飲みだして、「ここがいいな」と言って、そのまま住み続けるようになりました。 実は、この話をしてくれた長女から私に、家を引き払い次第、ここに住まないかと勧めてきたのですね。でも兄弟があんなふうになって、話が流れてしまいました。もし、そこが空いて私が住んでも、これまでの経験で耐性がついてしまってケロッとしているかもしれませんが、普段お酒は飲まないので、吞兵衛になってしまったら嫌だなあと。ここに限らず、事故物件に住んで、住人が豹変してしまう例はけっこう見聞きします。
なぜかくじ運が良くなる物件
――逆に、住み始めたらどんどん運勢が上がったとか、出世したとかといった、プラスの方向に豹変した例はあるのでしょうか? 松原:あります。私が取材した女性ですが、事故物件がどうか不明ですけど、マンションに住み始めて毎晩金縛りにあうと。妹さんから電話で、「事故物件じゃないの?」って言われたけれど、住み続けました。その妹さんが、マンションに来ることになったのですが、なぜか迷って、すぐそばまで来たとことで事故にあってしまいます。 ところが、ここに住んでからくじ運がすごいのですね。ふと、近所の宝くじ売り場で宝くじを買ったところ、最後の一桁だけが一等賞と違う前後賞に当たって5000万円獲得します。それ以外にもハローキティのくじの1等が2回、ロト6も30万当たるなどしました。 でも、金縛りがつらすぎて、引っ越しました。それ以来、金縛りをしなくなりましたが、くじ運もなくなったそうです。 <取材・文/鈴木拓也> 【松原タニシ】 1982年4月28日生まれ。兵庫県神戸市出身。松竹芸能所属のピン芸人。現在は「事故物件住みます芸人」として活動。2012年よりテレビ番組「北野誠のおまえら行くな。」(エンタメ~テレ)の企画により大阪で事故物件に住みはじめ、これまでに17軒の事故物件に住む。ラジオ関西「松原タニシの生きる」、MBSラジオ「松原タニシの恐味津々」、CBCラジオ「北野誠のズバリ」などレギュラー出演中。最新の著書は『恐い怪談』(二見書房)。 X:@tanishisuki Instagram:@tanishi_m YouTube:「松原タニシch」 【鈴木拓也】 ライター、写真家、ボードゲームクリエイター。ちょっとユニークな職業人生を送る人々が目下の関心領域。そのほか、歴史、アート、健康、仕事術、トラベルなど興味の対象は幅広く、記事として書く分野は多岐にわたる。Instagram:@happysuzuki
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