「監督らしくない監督」として就任1年目で母校を箱根駅伝へ 神奈川大・中野剛監督
来年1月2、3日に行われる第101回東京箱根間往復大学駅伝(箱根駅伝)に、神奈川大が2大会連続55回目の出場を決めた。今年1月から、神奈川大で3度箱根路を走った経験を持つ中野剛・駅伝監督が指揮官に就任。「箱根は特別。人生そのもの」と話す51歳は、母校を率いて予選会を勝ち抜き、初の本大会に臨む。 ■眠れないほどの重圧 「久々に泣いてしまいました」 10月19日に行われた箱根駅伝の予選会。神奈川大の中野監督は、こみ上げる感情を抑えられなかった。指揮官として初めて本大会への切符を懸けた戦いに臨み、出場権をつかんだ。 力のあった昨季の4年生がそろって抜けた今季は、「予選会のみといってもいいぐらい、集中してやってきた。通ってよかった」。レース前夜は不安と重圧で一睡もできなかったが、主力のアクシデントも総力戦で補い、9位に入った。 選手には自然体で本大会に臨ませる考えだ。自身は第69回大会(平成5年)から3大会連続で箱根路を疾走。大一番への思い入れが強すぎ、満足な走りができなかった苦い思い出があるからだ。「目標は選手が立てるので、それで僕もスタンスを決めようと思う」。 ■恩師の電話で母校へ 実業団チームの指導者をしていた令和元年、1本の電話が母校へと戻るきっかけとなった。恩師でもある神奈川大の大後栄治監督(当時)から、「俺もいつか終わる時が来る。お前、興味ないか」と誘われた。 以前から、箱根駅伝を指揮してみたい気持ちはあった。「僕でよければ」と受諾し、令和3年から神奈川大のコーチに。昨年ヘッドコーチに昇格し、今年1月に監督のタスキを受けた。 指導では、選手1人1人と真摯に向き合ってきた〝大後流〟を引き継いだ。面談形式での話し合いを積極的に行い、選手の秘めた可能性を一緒に探ってきた。 一方で、〝中野流〟のスパイスも加えた。朝練ではみんなでまとまって走る機会を増やして集団意識をつけさせ、実戦も多用した。頭角を現したのが3年生。「全くスポットが当たってなかった子たちが、夏までに一気に力をつけた」。チームに変化が生まれた。 ■選手と「肩組んで前進」