国山ハセン 引っ込み思案だった僕が細かい技を重ねて鍛えた対話力
前回の記事 「国山ハセン 仕事の現場で信頼関係を築く『共通言語』ができる読書」 では、良書には「対話」を促す力がある、という話をしました。 【関連画像】ハセンさんがこれまでの経験で培ってきた、コミュニケーションの実践的なメソッドが詰まっている 僕にとって対話は、人との出会いを広げ、出会いから始まる信頼関係を深める、キャリアや人生を前に進めるエンジンのようなもの。アナウンサーという「話す技術」を専門とする職業からキャリアをスタートしたこともあって、さまざまな分野で活躍する素晴らしい方々と対話する機会に恵まれてきました。 TBSを辞めてPIVOTというスタートアップに転職してからは、ビジネスパーソンとお話をする機会が増え、新しい世界がどんどん広がっていきました。 「プロデューサー」という立場で番組の企画や人選から考え、憧れの存在だった本田圭佑さんと起業家を応援する投資番組でご一緒したり、教育や金融、データサイエンスなど多様な分野の最前線に立つ方にじっくりインタビューをしたり。 ただし、せっかくの出会いも、それを十分に生かせなければ、自分の中に何も蓄積されません。一度の出会いをその後も続く信頼関係につなげるもの、それは何かと考えたときに、「対話」に行き着きました。 これまでのキャリアを棚卸ししてみると、挑戦への意欲を伝えたり、第1子誕生のときに育児休業を申し出たり、転職をしたり。自分が選びたいと思った道へと進むことができた分岐点の一つ一つに「目の前の人との対話を大事にする」という姿勢があったと感じます。 これからの人生をポジティブに突き進んでいくうえでも、対話の力が大事だと確信していますし、もしもキャリアに行き詰まりを感じている方がいたら、「対話力」を磨くことが突破口になると伝えたいという思いがあります。 たまたまオファーをいただいて出版した初の著書『アタマがよくなる「対話力」』(朝日新聞出版)は、そんな僕が培った対話力のノウハウをすべて詰め込んだものです。 仕事柄、初対面の相手と限られた時間の中で濃い対話をすることが求められることから、「会って0秒」の瞬間の挨拶や、緊張を自然に解くアイスブレークのコツ、対話の温度を徐々に高めるリアクションのバリエーションなど、いつの間にか身に付いた技術が思った以上に蓄積されているのだと気づきました。 ●話すのが下手だった僕の改善習慣 「愛想がいい」「社交的」と思われがちな僕ですが、実は子どもの頃は引っ込み思案で、どちらかというとコミュニケーションが下手なタイプでした。 アナウンサーになったばかりの新人時代も発声が不十分で厳しくご指導いただき、初めてカメラの前に立ったときは緊張で心臓がバクバクしていたことを覚えています。 TBSの看板番組でもある「news23」のキャスターの役目を頂いてからも、毎回のオンエアを最低5回はチェックして改善点を書き出す習慣を、会社を辞めるまで続けていました。