「赤信号みんなで渡れば怖くない」が今も残る学校運営に辟易、福岡にある私立高校の「謎ルール」を即廃止した校長の真意
1つは話し合いを重ねて重ねて進めていく、ソフトランディング。もう1つは話し合いを土台としながら、リーダーが決断を下すハードランディング。どちらが優れているというわけではなく、組織を取り巻く状況によって必要とされる最適な決定方法が変わってくるのです。 僕は校長就任から現在まで、ハードランディングを軸にして学校改革を進めてきました。 当初、よく教頭からこう言われていました。 「校長先生、強引にやられたらみんなが納得しないですよ」
こちらとしては、「みんなが納得」の「〝みんな〞は誰ですか?」という感覚です。 グローバル学園構想を打ち出して、「柳川高校は海外のさまざまな国から留学生が集まる学校になります」「そのために海外に中学校をつくります。海外に事務所を開設していきます」と声を大にしました。 最初は教職員の多くがキョトンとしていました。 もしこれをソフトランディングで進めていこうとしていたら、1年経っても2年経ってもグローバル学園構想を打ち出すことはできなかったと思います。
なぜなら、誰も経験していないことを始めようとしていたからです。 構想を打ち出した僕も経験していないし、教職員ももちろん経験していない。誰も経験していないことについて、あれこれ意見を交わし、有識者を呼んでアドバイスをもらい、全員が納得するまで議論を重ねていくのは、時間がもったいない。 学校改革はある種、ベンチャー事業の立ち上げに似ています。 動きながら考える。動きながら改善する。動きながら次につなげていく。そんな速いサイクルがあってこそ、改革が必要な危機的な状況を変化させることができるのです。
そこでキーワードとなるのは、「覚悟」と「突破力」。 組織にまだ突破力が備わっていないタイミングでは、リーダーが覚悟を決めて先頭に立ち、全体を引っ張っていく必要があります。 ハードランディングで改革を進め、組織全体に新たな経験を積んでいってもらう。誤解や不安が生じることもあるでしょう。そういったデメリットは織り込み済みで、あえて「俺は柳川高校のルフィになる!」と全校生徒の前で宣言してしまうわけです。