低姿勢で始まった兵庫・斎藤元彦知事の新県政 「職員間の分断」を懸念する声も
兵庫県知事選で再選を果たした斎藤元彦知事が11月19日、県庁で再スタートを切った。 【写真】早々に握手を交わした斎藤知事と吉村大阪府知事 パワハラなどの理由で失職に追い込まれた斎藤知事だったが、県職員らを前に、 「県政に関するご心配、ご不安を与えたことをお詫び申し上げたい。仕事はひとりではできません。すべての県庁職員、関係者の支えがあってできている。皆さんへの感謝の気持ち、謙虚な心で、一からやり直していきたい」 と低姿勢であいさつを述べた。 県議会の百条委員会が県職員を対象に実施したアンケートでは、多くの職員が斎藤知事の「パワハラ」や「おねだり」などの疑惑を見聞きしたと答えていた。県議会だけでなく、職員の多くからも「ノー」を突きつけられていただけに、斎藤知事のこれからの県政運営は平たんな道ではないだろう。 ■斎藤氏の選挙演説の場で小競り合い 今回の知事選は、候補者の争いというより斎藤知事の「不信任」への賛否を問うような選挙になった。そのため、県内に「分断」が生み出された。 選挙戦終盤、斎藤知事の演説の場には、斎藤氏の疑惑を掲げるプラカードを持った「反斎藤」の人たちが多数やってきて、斎藤支持者と小競り合いに発展することがあった。 「パワハラ知事は出るな!」 と訴える人たちに、斎藤氏の支持者から、 「帰れ!」 と罵声が浴びせられたり、プラカードを破った人が警察に拘束されたりと、演説会場が荒れることもしばしばだった。 斎藤知事が「グランドフィナーレ」といい、1千人以上が集まった最後の演説の際は、トラブルを防ぐため兵庫県警の制服警官が大量動員され、プラカードを持った人の周辺をガードし、騒然とした中で行われた。 投開票日の翌18日、兵庫県議会の百条委員会のメンバーだった竹内英明県議が辞職を表明した。同僚議員はこう話す。 「斎藤知事の支援者らによると思われるが、SNSで竹内氏やその家族までを標的にして、脅迫まがいのことが投稿された。家族が精神的に参ってしまい、竹内氏は家族を守るために辞職した」 竹内氏は百条委員会で鋭く的確な質問で知られていた。記者は、何度も取材してきたが、知事選が進むにつれてSNSでの批判のためか元気がなくなり、電話に応答しないこともあった。 辞職後、記者に、 「ご心配をありがとうございます」 というメッセージが届いた。